8年続く社内勉強会を続けていくために行っていること

みなさんこんにちは、社内のエンジニアが働きやすくすることを目標にする Engineer Empowerment プロジェクトの @Mahito です。

社内勉強会を始めたけれど長く続かないという話は時々、知人から聞いたり Twitter で見かけたりすることがあります。 今回は NTT Com で 2014 年から 8 年間続いている社内勉強会 TechLunch の運営を続ける際に行っていることについて書きたいと思います。

本記事は少々長めになっているため、先に内容をまとめると以下のようになります。

  • 社内勉強会 TechLunch の紹介
  • 社内勉強会を長く続けるためにどんなことを考えたか
  • 続けていくために「ゆるく」したこと
    • 発表の敷居を下げる
    • 運営が頑張りすぎない
    • 参加者にもゆるく楽しんでもらう

TechLunch とは

NTTコミュニケーションズでは、TechLunch と称して社内ランチ技術勉強会を 8年以上に渡り、153回開催しています。(2022/10/20 時点)

お昼休みの時間を利用して、お昼ごはんを食べながらゆる〜く、気軽に参加できる勉強会となっています。 参加者が TechLunch に参加することで他部/チームの取り組みやスキルについて学んだり、わからないことを聞ける相手が増えることを目指しています。

もともとは @iwashi86 が異動直後に話せる人が欲しいと言う理由で始めたそうですが、途中で iwashi86 の都合の悪い期間があったため、私がヘルプとして運営に参加しました。

私自身も NTT グループの他社から異動してきた身なので、TechLunch に参加したり発表をしたりすることで他チームの人を知ったり知ってもらったりとお世話になっていました。そのため、この勉強会を長く続けていく手伝いができればと思い色々試行錯誤をして今に至っています。

長く続けるために考えたこと

先に述べたように、 社内勉強会が続かない といった危惧は TechLunch にも当てはまります。

TechLunch では開催を不定期にしており、発表者を希望する人が現れると日程の調整・周知・開催の流れになるのですが、お分かりのとおり発表者がいないと開催されません。 この8年間の間で、平均すると約 19 日に 1 回のペースで開催されていますが、一番開催間隔が長いときは 84 日開催されませんでした。

つまり、TechLunch を継続していくためには発表者を増やすための働きかけが大事になってきます。

発表の担当を持ち回りにすることで定期的に開催をする方法もありますが、TechLunch は社員が自由に開催し、気軽に参加できるイベントでありたいという私個人の思いがあります。

やらされ感での発表ではなく、発表したい人が気軽に発表できる方向でなんとか出来ないかと考えました。

続けるためにゆるく

TechLunch を長く続けていくためにどうするかと思案しているときに、昔あるイベントのボランティアスタッフをしていた時の話を思い出しました。

私はプログラミング言語 Ruby のイベントである RubyKaigi のボランティアスタッフを 2011, 2013 と経験させていただきました。 その際に 2011 と 2013 で同じイベントのスタッフをしているにも関わらず、2013 のイベントは過去と比べて運営サイドに余裕というかゆるさがありました。

不思議に思い、打ち上げの際に主催者の方にそのことを尋ねると 「長く続けていくために燃え尽きないようにゆるくやっていこうと思った」 という話をされました。

当時の私は 2011 年のイベントの時に味わった、スタッフみんなで一生懸命頑張り、参加者に喜んでもらう感じが楽しかったので今ひとつ理解できずに終わりました。しかし、数年が経ち、その話をふと思い出した時に TechLunch をもっとゆるくすることで続けていけるのではと考えました。

そこで、TechLunch をゆるくすべく以下のようなことを考え実施しています。

発表内容の敷居をさげる

TechLunch は技術セミナーという形で開催していたため、技術的な内容、特に最新の技術や話題の技術の発表が多く、聞く側にとっては刺激的で魅力的なものが多くありました。一方でこうした発表が続くと、次の発表に対しても最新の技術の話や技術的に濃い話が期待され、それ以外が発表しにくいという空気がありました。

こうした空気を変えるために、 TechLunch ではあえて IT とは離れた技術の発表も取り入れることにしました。

以下は IT ではない技術の話のタイトル(一部)です。

  • 3ヶ月のコミットから始める一生役に立つ英語学習法のススメ
  • 英語圏以外での仕事を進める方法(タイ編)とアジア展開のお話
  • 身近に感じよう!簡単!ラグビー説明会
  • 【年末特番】いま、日本酒がおもしろい!
  • 「写真撮影のキホン」x「それを支える技術の話」
  • 長くよく飛ぶ紙ヒコーキ作りませんか?

NTT Com は海外トレーニー制度として1年間海外で OJT をするしくみや、ラグビーチームを持っていたこともありその経験者やラグビー選手がいます。 また、個人の趣味として日本酒やカメラを嗜む人、紙飛行機の地区大会で優勝した人など様々なスキルを持った人に、その経験や知識を発表してもらうことで、「こんな発表もありなのか」と発表の敷居を下げるのに一役を買ってもらいました。

  • よく飛ぶ紙飛行機の折り方をレクチャーされて真剣に紙飛行機を折る大人たち

実際に、こうした発表も取り入れることで「こんな発表をしても大丈夫ですか?」という相談も増え、発表の敷居が少し下がったのかなと感じています。

来月にはパイプオルガンについてリモートで現物を使いながら話をしてくれるという人も現れたので今から楽しみです。

発表者都合での開催

当初の TechLunch は金曜日にオフィスで開催と、曜日と場所が決まっていました。 しかし、発表者が発表しやすいタイミングでできたほうが良いのではということで、曜日を任意に変更し、リモートでの発表もありというふうに形を変えていきました。

最近はリモートワークが前提となったため、発表、参加ともにすべてオンラインとなりましたが、リモートでの発表も事前に経験をしていたので、特に混乱なく運営を続けることが出来ました。

時間に関しては TechLunch と名をつけていることもあり、ここだけは変更をせずに開催を続けていますが、NTT Com は TechNight というイベントも有り、夜にワイワイ発表をする・聞くイベントもあります。

発表者を社内に限らない

TechLunch は社内の勉強会として運営していますが、時々社外の方にお願いをして発表をしてもらったりもしています。

以下は社外の人に発表してもらったタイトル(一部)です。

  • Heapstats: Troubleshooting with Serviceability and the New Runtime Monitoring Tool
  • Gitの便利ワザ
  • トランザクション入門
  • シリコンバレーで3ヶ月働いて体感した自律型組織のススメ
  • ビジネスセクターからソーシャルセクターへ 〜NTTグループ元技術者が語るNPOでの働きがい〜

NPO の話は、前職で読書会を一緒にやっていた先輩が NPO に転職をしており、私から発表をお願いして発表を引き受けていただきました。 これ以外にも、面白い技術を持っている人や詳しい人にお願いをして発表に来てもらうことで、参加者には時々いつもの TechLunch とは違う発表を聞いてもらっています。

ゆるく運営

TechLunch の運営は私を含め社内の有志 4 人で現在運営しています。 運営のやることは 発表者との日程調整、周知、司会 ぐらいに抑えているため、タスクとしてはかなり軽いものとなっています。

昔は発表者との調整や周知をメールでやり取りをし、Slack で追加の周知、リモートで参加する人のための配信を準備と少し準備が大変でした。 現在は調整と周知を Slack に絞ったことや、発表・参加ともにフルリモートへ変わったため準備がかなり楽になりました。

運営の作業もゆるくやることにより、運営する我々が燃え尽きず長く続けるようにと考え、やることを極力減らしリモート化も相まって今の形に落ち着いています。

参加者にもゆるく

TechLunch の参加には申込不要、出欠も取らず参加したい人が参加したいタイミングで参加できるようにしています。

他にも、参加者が楽しく参加できる仕掛けとして、オフラインで開催していた頃は希望者でお金を出し合ってピザのデリバリーを頼んだり、出張の板前寿司を頼んだりしていました。

  • 写真:寿司に群がる参加者

参加者は以前からも Slack を使った実況などをしてくれていましたが、リモートでの開催になってからはさらに実況や質問を Slack へ書き込むようになりました。Slack での実況を通じて、参加者が発表を聞きながら意見を交わしたり交流が行われていたりします。最近、発表者の方が最初にチェックインとして参加者に質問を投げかけ、回答を書いたり Slack のリアクションをしてもらうった際は、実況がいつもより盛り上がっていました。こうした手法も取り入れながら参加者がより気軽に楽しんで参加できる仕組みなどを今後取り入れていければと考えています。

まとめ

TechLunch では、発表者の敷居を下げ、運営の負担を減らし、参加者が楽しめる仕掛けを用意することで 8 年間続く社内勉強会となっています。 今後もゆるく長く続けていくことで、社内のノウハウの共有や参加者のスキルアップなどにつなげる場にしていきたいと思っています。

また、今回の記事が、みなさんの開催される勉強会などの継続するヒントになれば幸いです。

そして、最近では皆さんにも参加していただける NTT Com Open TechLunch というイベントもはじめました。なんとタイムリーに次回は 10/27(木) に開催されますので、興味のある方はご参加ください!

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