デジタル改革推進部の小林です。いまは社内認証サービス・基盤のプロダクトオーナーをやっています。5月まではイノベーションセンターにいました。
去る11月15日土曜日に開催されたBTCON JP 2025において、「現場とIT部門の橋渡しをして3000人の開発者を救った話」との題で登壇してきました。この記事では、ask the speakerのコーナーや、懇親会でお話しした内容を踏まえて、その発表では盛り込めなかった内容をお伝えします。
発表のあらまし
かつてこのブログの記事「エンジニアがエンジニアのために開発・検証用 PC を整備した話」で紹介した話を題材に、現場とIT部門の付き合いにおける人的側面に焦点を当て、対話・協働・挑戦の奨励が重要であるとの学びを報告しました。登壇資料はこちらにアップロードしておきましたので、よろしければご覧ください。
追加コンテンツ
このセクションでは、発表であえてカットした、あるいはお話しし損ねた内容をいくつか紹介します。
どうやるかは最後
セッションA9「LINEヤフー合併におけるグループ従業員/アカウント管理の課題」を発表されたLINEヤフーの久保貴史さんと懇親会でお話しした折、この話が出ました。
久保さんの発表では、新たに策定した管理策を海外法人を巻き込んで今後実施していくことが紹介されました。懇親会では「海外法人に指示を通しきるのは難しいところもあると思いますが、どのように実効力あるものにしますか?」との私の問いに、「なぜやるかをとことん説明する。そのために丸1日かけた」「howの話は後でよくて、whyをみんなで合わせるのが重要」との明快な回答をいただきました。
発表に盛り込み損ねたのはまさにそこで、ある課題が発見された際に、なぜその課題を解かなければならないかを関係者全員で共有・納得できていると、解決が爆速になります。そもそも解くべき課題だと自分が認識している事柄が、他者には課題だと思われていないこともしょっちゅうです。納得していない人を動かすことほど難しいことはありません。海外とはデフォルトで共有できる価値観があまり多くないこともしばしばですから、ここのwhyに関する対話をゆるがせにするとうまく行かないのは道理だなと感じました。
また、久保さんは「現地に訪問して作業を観察し、疑問に思うアクションがあればなぜそれを行っているのか、その場で確認した」ともおっしゃっていたことが印象的でした。答えはフィールドにこそあります。
会って話す
今回の発表は「コミュニケーションの話」とまとめることもできるかと思いますが、発表資料ではコミュニケーションの語をあえて一切出しませんでした。「コミュニケーション」の語で受ける印象に、広がりがありすぎると考えているためです。
コミュニケーションのスタイルはいろいろと想定されます。言語・非言語、テキスト・ビジュアル、対面・非対面、などなど。今回の発表で私が一貫して主張したいのは「会って話す」ことです。「会って話す」を実現するにはその文字通り、直接出向いて面と向かうしか方法がありません(2025年11月現在)。
会いに行くことには力があります。チャットやメールだとやたら当たりがキツい人でも、会って話すと物腰柔らかくて驚くといったこともあります。まずはアポを取ってみませんか。
端からめくる
Ask the speakerのコーナーにお見えになった方に、「端からめくる」話をしました。これは当社のとある元役員が使っていた表現で、問題解決にあたってはいきなり主流派をどうにかしようと思わず、少し背伸びする程度くらいで解決できるような身の回りのことから始めるのがよいといった意味合いです。
繰り返しになりますが、解きたい課題があるなら、それは解くべき課題だと理解してくれる仲間を作るところから始めましょう。仲間がいるのは心強いものです。そのうち仲間が増えれば、それがいつの間にか主流派になります。
燃え尽きに注意
IT部門始めバックヤードには責任感の強い方がしばしば見られます。それ自体はとてもよいことですが、あまりにも強すぎる責任感は燃え尽きにつながります。何を隠そう私自身がそうで、自分一人でなんとかしなければと背負い込みすぎていた時期を経験しています。考え直したきっかけはもはや思い出せませんが、あれは思い違いだったと今ならはっきり言えます。
困ったときには助けを求めましょう。助けを求めることは責任の放棄ではありません。きちんと強いチームであれば、チームで成果が出ればよいことを誰もが知っています。またチームのマネージャーである方には、チーム内で助けを求めやすい環境作りをお願いしたいと思います(自ら道化を演じるでもよいと思います)。
終わりに
開発PCを作った経験からはさまざまな学びがあり、とりわけこの人的側面の話は本当に身に染みました(ほかの開発メンバーからも異口同音に聞かれました)。いつかは外部発表したいと思っていたところで、このような形で機会をいただきました。当日会場・YouTubeでご覧いただいたみなさん、またBTCON JP 2025運営メンバーのみなさん、ありがとうございました。
発表のアーカイブ映像は後ほど期間限定で公開されると聞いています。アナウンスがあるとのことですので、発表をお待ちください。