この記事は、NTT docomo Business Advent Calendar 2025 14日目の記事です。
こんにちは、社内データ分析コミュニティ「データサイエンスちゃんねる」の是松です。 普段はジェネレーティブAIタスクフォースに所属しており、特定の業務に特化したAIエージェントの開発などを行っています。
データサイエンスちゃんねるでは、社内向けの輪読会やKaggle LT会など、社内のデータサイエンスに興味があるメンバーの交流を目的とした活動を行っています。
本記事では、データサイエンスちゃんねるの目玉活動になりつつある「データ分析開発合宿」について、運営目線での話をしたいと思います。 社内イベントの企画・運営に興味がある方の参考になれば幸いです。
データ分析開発合宿とは?
データ分析開発合宿とは、所属に関係なくデータ分析が好きな社員が集まって短期集中でデータ分析に取り組むというイベントです。 普段は交流する機会の少ないメンバーが集まり、社内のサービスログの分析を通して交流を深めます。 毎年秋ごろに開催しており、第1回と第2回は30名程度、先月実施した第3回は10名の参加者が集まりました。
データ分析開発合宿の目的は主に2点です。
- 社内にあるさまざまなサービスログを、合宿参加者の新たな視点で分析し、活用例を示し、サービス改善を図る
- データ分析スキルを持つ人材の横のつながり強化と、チャレンジできる実践の場を作る
イベントは3つのステップに分かれています。
Step1: キックオフ 参加者顔合わせ、サービス・課題概要説明、分析テーマ・チーム決め(3時間程度)
Step2: 課題ヒアリング 業務の合間に、サービスログデータの確認や課題の深掘りを行い、疑問点などをヒアリングする(1時間 x 数回)
Step3: 分析 三日間にわたる短期集中での分析、課題解決のための施策提案にチーム単位で取り組む。 最終日に各チームごとの成果を発表する。
単にデータ分析をするのではなく、課題ヒアリングを経て仮説を立て検証し、最終的にサービス主管へ提案する必要があります。 参加者からは「貴重な実データを分析する機会だ」と評価を受けております。課題ヒアリング、仮説検証、提案準備など、実践的なスキルも養うことができます。
運営のお仕事
本イベント開催にあたり、運営としてのタスクを簡単に紹介します。 データサイエンスちゃんねるのメンバーを中心にさまざまな部署に所属する9名が運営に携わり、分担して準備を進めました。
ステークホルダーへの説明
本イベントの予算を出していただいているコミュニケーション&ネットワークサービス部や、分析プラットフォームの管理をしているデジタル改革推進部など、 関係各所に対してイベントの目的や期待される成果・セキュリティ対策等を説明します。 特にセキュリティに関しては多くの方が気にされるところであり、分析環境や分析データの個人情報の取り扱いなど、丁寧にコミュニケーションをとりながら問題がないように準備を進めていきます。
サービスログを提供するサービス主管との調整
各運営メンバーのコネクションを活用して、分析合宿に協力してくれそうなチームとコンタクトをとり、協力を打診します。 分析データの共有と、課題ヒアリングのための情報提供が主な依頼事項です。 分析データは適切に匿名化し、特定をできないように加工も行います。
イベント会場の確保
イベント会場の準備をします。 第1回と第2回ではホテルのホール会場を利用していましたが、今年は宿泊を伴わない形式に変更し、イベント会場を利用しました。
参加募集
募集要項を作成し、社内に周知します。 過去の合宿参加者や、運営メンバーの伝手を辿って個別の声かけも実施します。
分析環境の準備
NTTドコモビジネスには、DLXと呼ばれる全社員が使える分析基盤があり、本イベントもその環境を活用しています。 分析データの整備、アクセス管理を行います。
イベント対応
キックオフ、課題ヒアリング、本番の分析の各ステップに運営として立ち合います。
事後対応
分析データはイベント終了後に削除等の対応を適切に行います。 参加者アンケートの実施、ステークホルダーへの報告、各種周知活動(本記事もその一環です)等を行います。
第3回での変更点
イベントを重ねる中で、今年は方針をいくつか変更しました。
分析サービスの一本化
第1回は3サービス、第2回は5サービスを題材とし、チームごとに取り組むサービスを選ぶ形式をとっていました。 社内サービスの改善という目的を考えると、選択肢が増えるのは良いことではあるのですが、運営を続ける中で下記のような課題感が出てきました。
分析の質:サービスが複数あることで、1つのサービスあたりの分析チーム数が減り、多角的な視点での深掘りがしにくくなる
サービス選択の偏り: せっかく協力してもらったのに、どのチームにも選ばれないサービスが出てしまうリスクがある
運営コスト: 複数サービスのログ提供調整を並行して行うため、運営メンバーの負荷が高い
ここで述べた以外の要因もあり、第3回では「1つのサービスを全員で多角的に深掘りする」という方針に切り替えました。 1つのサービスに対して複数の分析テーマを用意し、チームごとに1つのテーマを選んで取り組んでもらうことで、短期間でも効果的な分析ができるようにすることが狙いです。
今回はサービスログ提供のための事前調整が想定以上に難航した背景もあり、サービスを1つに絞ったことで、結果的には運営リソースをパンクさせずに開催できました。 とはいえ、基本的には取り組むテーマの選択肢が多いことはイベントの魅力に繋がりますので、次回は今回の課題への対策を議論した上で、最適な方針を決めていきたいと思います。
宿泊から通いへ
第1回、第2回はホテルでの合宿形式で開催していましたが、昨今の宿泊費高騰の影響を受け、予算内で適切な宿泊施設を見つけることが困難となりました。 そのため、第2回のキックオフで使用した会場 docomo R&D OPEN LAB ODAIBA を利用し、宿泊を伴わない「通い」形式での開催に変更しました。
「寝食を共にして横のつながりを強化する」という合宿本来の醍醐味が薄れる懸念はありましたが、会場変更には以下のようなメリットもありました。
- 配信品質の向上: ネット環境や設備が整っているため、成果報告会のライブ配信品質が向上し、オンライン視聴者が大幅に増えた
- コストと手間の削減: 会場費が無料であり、宿泊手配にかかる事務作業も不要になった
また、運営側としては「宿泊なしの通い形式にすることで、業務の合間や家庭の事情に合わせて参加しやすくなり、参加者が増えるのでは」と期待していました。
しかし、蓋を開けてみると前述の通り参加者は前回より減少してしまいました。また参加者アンケートからも宿泊形式を望む声が少なくなかったので、 次回の方針については、改めて議論をしていきたいと思います。
振り返りと今後の展望
手探りで3年間進めてきた本活動ですが、3年間の活動を通じて、重要なポイントが見えてきました。
運営のコツ
ステークホルダーにメリットのある設計:データ分析イベントで障壁となりがちな「分析データの確保」ですが、本施策では「サービス主管の困りごとを解決する」という出口を明確にしました。主管部署には「課題解決のヒント」を、参加者には「実践的な成長機会と交流の場」を提供することで、双方から積極的な協力を得られたと思います。
組織へのアピール力を高めるコンセプト設定:単なる交流会に留めず、「人材育成」と「サービス価値向上」という経営層にも伝わりやすい目的を企画段階で固めたことで、各組織からの理解と支援を得やすい企画になりました。
今後の展望と課題
第3回では「参加者の減少」という新たな課題に直面しましたが、一方で「少人数だからこそ、チームを越えた密な議論やフィードバックが生まれた」という、規模を追うだけでは得られない価値も発見できました。
今後は、この「密な体験」という良さを活かしつつ、知名度向上や開催時期の最適化を行い、より多くのメンバーが参加しやすい形を模索していきます。また、提案した施策のその後の効果検証など、さらに踏み込んだ取り組みにも挑戦したいと考えています。
来年以降も、この「データサイエンスちゃんねる」が社内のデータ活用を加速させる場であり続けられるよう、改善を止めることなく進化させていきます!