JANOG51 にて発表&議論しました

JANOG51参加報告

イノベーションセンターの田島です。サービスプロバイダーネットワーク網の技術検証から検証用 AS の設計・構築・運用まで担当しています。 2023/01/25 ~ 27 の日程で富士吉田市にて開催されました JANOG51 に登壇し、参加された方々と議論しました。 この記事ではまず田島が登壇したセッション内容について振り返り、加えて NTT Com の他のメンバが登壇したセッションについてもいくつか紹介します。

JANOG51はアーカイブ動画が 2023/02/28 まで配信中です。 この記事以外でも NTT Com からパネリスト参加や LT での発表もありますので、プログラム一覧 から資料や録画を是非ご覧ください。

もし本番ネットワークをまるごと仮想環境に"コピー"できたらうれしいですか?

TIS 株式会社、ビッグローブ株式会社、NTT Com の3社協同プロジェクトで取り組んでいる、ネットワークトポロジーをモデルへ抽象化して処理する取り組みについての発表でした。 以前、本ブログの記事 ネットワークをモデルとして抽象化しオペレーションを高度化するチャレンジ でも紹介しましたが、さらに内容が深まっています。 発表内容については JANOG51 のプログラムページから資料が閲覧できますので詳しくはそちらをご参照ください。 実際にユースケースを動かしてみたターミナルの動画もリンクがあります。

簡単に振り返ると、このセッションでは我々が考案したネットワークの各レイヤーをグラフとして捉えて抽象化する、トポロジーモデルを介した検証環境の立ち上げについて発表し議論しました。 既存の本番環境の設定からモデルデータへ抽象化することで、使用するアプライアンスやネットワーク OS が本番環境と検証環境で違っていても相互変換可能にしました。 この仕組みを用いると十数台のキャリアルーターからなる本番環境であっても、操作可能な検証環境を数分で起動できました。

議論も活発に行われ、モデルによる抽象化の功罪や、検証環境に求める要件、そしてこのシステムを普及させるための方法など、参加者の方々と共に問題についての理解が深まりました。

このプロジェクトでの途中成果物は GitHub で既に公開しています。 現在はまだドキュメントの整備などが追いついていませんが、今後更新し、サンプルの検証シナリオをみなさまの PC 上で体験できるようにする予定です。ご期待ください。

ホワイトボックス伝送の導入に向けたキャリアの取り組み

このセッションではホワイトボックス伝送装置の NOS、他ベンダー相互接続性、設計・制御ソフトウェアについてキャリアとしての観点での評価結果と課題を、イノベーションセンターの木村と張が発表しました。また、本取り組みに関連するコミュニティである TIP(Telecom Infra Project)、IGF(IOWN Global Forum)での我々の活動も紹介しました。

議論ではホワイトボックス伝送、ディスアグリゲーションモデルの訴求点に関して参加者の方々と意見交換を行い、課題について理解が深まりました。

今後は新たなホワイトボックス伝送装置や周辺ソフトウェアを評価し、伝送ネットワークのオープン化に向けての技術開発を継続していきます。

CUEとKubernetesカスタムオペレータを用いた新しいネットワークコントローラをつくってみた

このセッションでは、我々が開発したネットワークコンフィグの宣言的管理を可能にするシステムについて、イノベーションセンターの奥井が発表しました。 このツールを用いることで、高レベルなインテントベースのコンフィグ作成、静的解析や構成テスト、GitOps が可能となり、アプリケーションインフラのマニフェストと同じようにネットワークコンフィグを管理・デリバリできます。 クラウドネイティブなアプリケーション開発で培われた、Infrastructure as Code と GitOps のプラクティスやオープンソース(Kubernetes、CUE、FluxCD など)を駆使して実装されています。 議論では、Kubernetes カスタムオペレータの使い方の是非について活発な意見交換が行われ、装置状態を観測しつつ管理ライフサイクルを隠蔽するための案として Ansible Operator を用いるのはどうか、といったコメントもいただき、さらなる取組に向けて大変有意義なものになりました。

現時点では gNMI/OpenConfig を用いたデバイス限定、かつコンフィグ管理に限定した利用となりますが、GitHub 上で公開していますので、ご興味があればご覧いただけると嬉しいです。今後は、対象デバイスの拡張や実運用を見据えた機能拡充を進めていく予定です。

おわりに

上記以外にも多数の興味深いセッションがありますので、是非公開期限の 2/28 までに JANOG51 プログラムページからアーカイブ動画をご覧ください。

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