DCC グループの Google Cloud ユーザーコミュニティイベント報告【GINGER Event#6】

はじめに

こんにちは、イノベーションセンターでノーコード分析ツール「Node-AI」開発チームの林です。

業務としては Node-AI のフロントエンドやバックエンド開発、最近では監視/可視化のプラットフォーム開発に携わっています。(興味ある方はこちらの記事もご覧ください。)

本記事では、2023 年 12 月 18 日に開催した NTT ドコモ・NTT コミュニケーションズ・NTT コムウェアからなるドコモグループ(以下、DCC グループ)内の Google Cloud のユーザーコミュニティ「GINGER」 の第 6 回目のイベントをご紹介します。

↓ ↓ 過去イベントの開催報告はこちら ↓ ↓

GINGER 紹介

GINGER は Google Cloud Community In NTT Group Enterprise の頭文字をとって命名しました。経緯の詳細はこちらの記事に掲載しています。

活動の中でも特にイベントでのオフラインのつながりを重要視しています。Google Cloud に関するノウハウ共有を実施しつつ、このコミュニティに参加したからこそ得られる業務を超えたつながりを価値として感じてほしいと思っています!

では、本題である GINGER Event#6 の開催報告に入りたいと思います!

オープニング

Event#6 では下記のアジェンダで開催しました!

今回は 11 月 15 - 16 日で開催された「Google Cloud Next Tokyo ‘23」に行ってみた感想や面白いセッションの共有にフォーカスした LT 大会となりました。

トップバッターはグーグル・クラウド・ジャパン合同会社様のカスタマーエンジニアである仲根さんによる 「生成 AI Updates & Gemini 紹介」 をお話しいただきました。仲根さんにはドコモ時代からお世話になっており、 本コミュニティ「GINGER」 の立ち上げを全面的に支援いただいており、感謝が尽きません。

次にコミュニティメンバー枠として 2 本の LT をしていただきました。1 本目は 2 回目の登壇となる NTT ドコモ データプラットフォーム部(以下、ドコモ DP 部)三浦さんから 「Google Cloud Next Tokyo ‘23 1 日目に行ってみた」、2 本目は初参加で初登壇の NTT コミュニケーションズ イノベーションセンター 會澤さんから 「Google Cloud Next Tokyo ‘23 に行ってみた + 生成 AI 試してみた」 となっており有益な情報を共有していただきました。

最後にニューメンバー枠として NTT コミュニケーションズ クラウド&ネットワークサービス部(以下、C&N部) 渡邉さんと櫻田さん から 「C&N部のデータ収集・可視化基盤開発およびデータ活用部の取り組み」 ということで普段の業務と Google Cloud を絡めた内容を発表いただきました。

年内最後のイベントでもあったため LT 4 本の盛りだくさんなイベントとなりました!また、オフラインでの現地参加者数は過去最多の 18 名となっておりコミュニティの成長も感じられました。

アジェンダを見ただけでもワクワクするような LT 4 本立てとなっていて、振り返ってもとても濃密な時間となっていました!

(執筆者 NTTコミュニケーションズ/林 知範)

運営メンバー紹介

今回の運営メンバーの紹介になります!前回同様にコミュニティメンバーへの呼びかけに応じてくれた森さんと中村さんの 2 名です。コミュニティ経験豊富なメンバーだったのでイベント運営が今まで以上に円滑でした。

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NTT ドコモ サービスデザイン部(以下、ドコモ SD 部)の森と申します。元々ドコモ CCoE として Google Cloud の組織管理を担当し、当初よりグーグル・クラウド・ジャパン合同会社様とも密に連携をしておりました。また、Google Cloud の社内事例共有会を開催するなど、Google Cloud 利用者とも繋がりがあり、GINGER でも主要メンバーとして毎回参加しています。現在は別業務を担当していますが、Gemini の発表など Google 技術の変化は大変興味深く、同じモチベーションをもっているメンバーと交流できる GINGER は楽しみの1つとなっています。 本活動を支援いただいている全ての方々に、お礼申し上げるとともに、GINGER が皆さまに好影響を与えるコミュニティであり続けることを願っております。

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(執筆者 NTTドコモ/森 健史)

LT1:Google Cloud 生成AI Updates, Gemini 紹介

LTのトップバッターであり Googler 枠として登壇いただいたのは グーグル・クラウド・ジャパン合同会社様のカスタマーエンジニアである仲根さんになります。「Google Cloud 生成AI Updates, Geminiご紹介」 のタイトルで発表いただきました。

はじめに、既存の生成 AI の Update として PaLM2 に chat-bison-002 と Unicorn のモデルが登場したこと、PaLM から Vertex AI Search をグラウンディング(モデルの出力を特定のデータに紐づける根拠付け)可能になったこと、画像生成モデルの Imagen に Imagen2 が登場したことなどを説明いただきました。下図では Imagen よりも Imagen2 の方が生成される画像の精度が高いことが分かります。

続いて、2023年12月に発表された Gemini について説明いただきました。Ultra, Pro, Nano の 3 つのサイズが用意されており、Gemini Pro については Google の会話型生成 AI サービスである Bard(英語版) や Google Cloud の Vertex AI で利用できるとのことです。

発表の中では Gemini のマルチモーダル機能について多くの説明がありました。2色の毛糸の画像を入力して「ここから何を作るべきか」の Gemini からのアイデア提案を受けたり、手のひらでコインを隠すマジックを複数の画像として入力して Gemini に説明・推論させたりといったものです。加えて Gemini Pro in Vertex AI のデモとして、Gemini が「ハイコンテキストな画像をどのように解釈するか」、「図形の意味をどこまで理解できるのか」の2つを実演いただきました。 図形の読み解きについてはシーケンス図とプロンプト(問題文)を入力としてGeminiが各問題に正しく回答する様子を実際に見せていただきました。

最後に、Sales Update として 2023 年 11 月に東京ビッグサイトで開催された Google Cloud Next Tokyo'23 参加の御礼と、ラスベガスで開催される Google Cloud Next'24 の案内で発表が締め括られました。

【感想】
Gemini の提供形態やマルチモーダル機能についてデモを交えてご説明いただき、とても分かりやすく参考になりました。MMLU(Massive Multitask Language Understanding) のベンチマークとして高いスコアを出していることを踏まえ、グラフ画像を含むレポートや文章の読み解き・生成にも利用できるといったところは今後試してみたいと思います。

(執筆者 NTTコミュニケーションズ/櫻田 真士)

LT2:Google Cloud Next Tokyo'23 の 1 日目に行ってみた

次の LT は、NTT ドコモ DP部の三浦さんです。Google Cloud Next Tokyo'23 の 1 日目に行ってみた感想を発表していただきました。 本人は大規模なイベントには初参加で、東京ビッグサイトで開催していることで「イベントやっている」感があり、楽しく参加できたとのことでした。 セッションは業務で利用しているCI/CD周りを中心に聴講してきたとのことです。

1 つ目の参加セッションは、製造業での Cloud Run 周りの事例セッションです。 Cloud Run については知見がある中での参加とのことでしたが、小さなことでも知らなかった学びがあったり、セミナーの構成がとてもきれいであったという学びがあったようです。 (Cloud Run を中心とした、製造業でのシステム開発コラボレーション事例

2 つ目は、Organization を利用したガバナンスとセキュリティの事例セッションです。 あまり知見のない領域での参加とのことでしたが、役に立ちそうと前向きなコメントをしてくださっていました。Organization 機能は単一プロジェクトを利用しているだけでは意識することはないと思いますが、Google Cloud のリソース管理体系は階層構造になっている点を理解して利用してもらえると、今後効果的な複数プロジェクト運用ができることがあるかもしれませんね。 (新米管理者の奮闘記のその後 〜 Organization の秩序を維持する試み 〜)

3 つ目は Google Cloud の CI/CD を利用したソフトウェアデリバリーについて、Google Cloud の方が講師を務めるセッションです。ここで触れられた各サービスについては三浦さん本人の業務でも利用しており、「訳あってCI/CDをCloud BuildからGitHub Actionsに変えてみた」というタイトルでドコモ開発者ブログにもなっているため、皆さんも是非見てみてください!(最新 Google Cloud CI/CD を利用したソフトウェア デリバリー)

(画像中のサービス群の引用元:Software Delivery Shield のコンポーネント

最後に全体を通して、「今回は業務で利用している領域中心だったけど、次はあえて自分が知らない領域も聞きたい」と前向きなコメントを残してくださいました!

【感想】
Google Cloud Next Tokyo には今回初参加ということで、色々刺激を受けたことが伝わってくる発表でした。実際に参加すると元々業務で利用している領域だけでなく、知らなかった領域への興味も湧いてきますね。全体的に前向きな姿勢を感じる発表で、聞いている側の私も刺激になりました。素晴らしい LT ありがとうございました!

(執筆者 NTTドコモ/森 健史)

LT3:Google Cloud Next Tokyo'23 に行ってみた

LT 発表者は NTT コミュニケーションズ イノベーションセンター の會澤さんです。 今回 Google Cloud Next Tokyo'23 に行ってみた感想を発表していただきました。2 日間基調講演に参加しており、紹介しきれないのですが今回の Google Cloud Next Tokyo'23 の見どころであった生成AI部分を中心に紹介させていただきます。

會澤さんは NTT コミュニケーションズで Qmonus Value Streamという DevOps プラットフォームを開発しています。

會澤さんには基調講演で聞いた「生成AIによるアシスト Vertex AI」を実際に自分のプロダクトのドキュメントで利用した様子をデモしていただきました。

ここで利用されていたのはVertex AI Search and Conversation」というGoogle Cloudのプロダクトでした。本プロダクトには大きく分けて「Vertex AI Search」「Vertex AI Conversation」の 2 機能があります。 その中で會澤さんは「Vertex AI Search」を利用されていました。これは LLM(Large Language Model) がドキュメントを読み込み、利用者の質問に対して回答を生成するものです。

実際に Qmonus Value Stream のドキュメントを Vertex AI に学習させ、対話で内容を理解できる様子をデモしていただきました。 デモの結果は上記の通り、無事に学習した内容を参照して対話形式で必要とする情報を取り出せていました。最新技術をまずは自分のプロダクトで試してみることで、その技術の適用範囲を理解することができたとのことです!

【感想】
ドキュメント管理の問題は開発をしているとよくぶつかる問題です。 最新仕様のドキュメントはどれなのか、そもそも知りたい仕様はどこにあるのか、プロダクトが大きくなるにつれ膨大な量のドキュメントから探さなければなりません。 今回デモしていただいたように、知りたい情報をチャットボットで回答させるという方法は、この問題を解決する方法の 1 つと感じました。 「私もさっそく自分のプロダクトのドキュメントで活用したい」と感じさせる、ワクワクする LT でした!

(執筆者 NTTコミュニケーションズ/渡邉 佑典)

LT4:C&N部のデータ収集・可視化基盤開発およびデータ活用部の取り組み

最後の LT は、NTT コミュニケーションズの渡邉さん、櫻田さんです。C&N 部のデータ収集・可視化基盤開発およびデータ活用部の取り組みについて発表していただきました。

まずは渡邉さんから NTT コミュニケーションズのクラウド・ネットワークサービス向けデータ収集・可視化基盤における、Google Cloud を利用したソフトウェアデリバリーについて話してもらいました。

渡邉さんも Google Cloud Next Tokyo'23 に参加し、自分たちのシステムの CI/CD をどう進化させられるかという観点で「最新GoogleCloud CI/CD を利用したソフトウェアデリバリー」セッションを聴講したとのことです。

そこで以下2点について見直しを行ったとのことでした。

  • CD にはデリバリーとデプロイの 2 種類がある
  • セキュリティとCIを率先して実施すべき

すると、本番環境までの自動デプロイは実現できていない点、セキュリティについてはコンテナの脆弱性スキャン機能を使えていない点について気づいたとのことです。 「まだまだ改善すべきこと、やりたいことが たくさんあります」と締め括っていただきました。クラウドサービスやベストプラクティスは進化スピードが早いため、常に情報更新して適用していく姿勢が大事ですね。

続いて、櫻田さんからC&N部『データ活用部』 の取り組み事例について発表していただきました。

C&N部の『データ活用部』は、有志が公募制で参加し、データ利活用スキルを学び、教え合い、本業に活かしていく社内活動(部活)です。データドリブン化に向けた課題設定、解決に向けた活動だけではなくデータ利活用人材のキャリア形成サポートも行っているとのことです。今の世の中、キャリア形成が大事なのでこのようなサポートはエンジニア一個人としてありがたいですよね。

また、取り組み事例として、Google Cloud の Vertex AI を利用して、機械学習モデルを構築し、トラフィックデータの将来予測・可視化ワークフローを自動化する試みについて話してもらいました。 最後に今後について、グーグル・クラウド・ジャパン合同会社様とさらなるコミュニケーションを活性化させて、Duet AI、BigQuery での PaLM 活用、BigQuery DataFrames、Vertex AI Search 等の新機能についても検証したいと語ってくれました。

【感想】
今回、LT2 の三浦さんも CI/CD 周りが中心でしたが、皆さん開発初期段階からしっかり CI/CD まで考えて構築されてるんだなぁと感心しました(CICD を考えてないプロジェクトも結構あるという認識でした)。セキュリティに関しては Artifact Registry の脆弱性スキャンなどまだまだ新サービスも出てきている状況なので、一度構築したらおしまいではなく、継続的に情報更新して適用していく姿勢が大事ですね。 また、データ活用に関しては私自身あまり知見のない領域ですが、LT1 の仲根さんもAI周りが中心で、今後 Vertex AI 周りも詳しくならないとなぁと感じ、発表を聞いているだけでも勉強になりました。 お二人とも素晴らしい LT ありがとうございました!

(執筆者 NTTドコモ/森 健史)

クロージング

これにて LT パート終了となりました。生成系 AI のホットな情報から Google Cloud Next Tokyo の有益なセッション共有、社内での利用事例といったバラエティに富んだイベントとなり非常に満足度が高いものでした!

また、冒頭でも記載しましたが徐々にオフラインでの現地参加者が増えており、業務だけでは出会えない DCC グループ内のメンバーとの交流の輪が広がっていることも肌で感じられて嬉しく思っています。

次回のイベント開催報告にもご期待ください!

(執筆者 NTTコミュニケーションズ/林 知範)

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