KubeCon+CloudNativeCon Europe 2024 現地ルポ

こんにちは、イノベーションセンターの坂本です。 ソフトウェアエンジニアとしてノーコードAI開発ツール Node-AI の開発に取り組んでいます。

先日 2024年3月19日~22日 にかけてフランス パリで開催された KubeCon+CloudNativeCon Europe 2024 を聴講してきました。

本記事はあえて各セッションなどの技術的なお話ではなく、現地の雰囲気に焦点を当てた内容としています。行けなかった人や今後行ってみたい人に向けて、技術部分はRecapや公式セッション動画で、現地ならではの部分は本記事で今回のKubeConを補完できることを目指して執筆します。

目次

そもそもKubeConとは?

非営利団体 Cloud Native Computing Foundation (CNCF) が主催するイベントで、毎年北米とヨーロッパで1回ずつ開催されます。Kubernetesおよびクラウドネイティブコンピューティング技術についての事例共有やCNCFがホストするプロジェクト(CNCFプロジェクト)のメンテナなどからアップデート紹介など中心に行われます。他にも企業展示や各CNCFプロジェクトのブース、交流会などさまざまな催しがあります。

会場はパリ中心部からバスを利用して片道約45分
今夏にオリンピックを控えているせいかKubeCon会場でさえ手荷物検査がある

スケジュール

Day1: CNCF Co-Located Events

初日は各CNCFプロジェクトに特化したCo-Located Eventsがあります。 2~4日目のKubeConとは別費用が必要ですが、個人的にはKubeConよりもこちらに参加しに行くと言ってもいいくらい興味深いセッションが多いのでオススメです。

昨年は国内外問わず技術系イベントではOpenTelemetry関連のObservability系セッションがかなり多かったと記憶していますが、やはりそういった注目領域は扱いが違います。 私が主に聴講していたEdge Dayはスクリーン1枚に椅子のみといった部屋で開催されましたが、Observability Dayは倍近くの部屋の広さでスクリーン2枚にテーブル完備と厚遇されていました。

Observability Dayのもよう

Day2~4: KubeCon

KubeCon自体の中にもさまざまなイベントがありますが、いくつか抜粋して紹介します。

Keynote

KubeConでは毎朝Keynoteがいくつかあり、その後個別のセッションが各部屋で行われるといった流れになります。 やはりエンジニア的にはGraduated Project Updatesが一番盛り上がり、会場の反応でインパクトの大きさを推察できます。

ここまで言っておいてなんですが今回自分はこれを現地で聞けませんでした。 ただ内容を見るに Istio Ambient Modeがbetaリリース間近 という部分が一番盛り上がったのではないでしょうか。

Keynote会場のもよう

Breakout

開催期間中は絶え間なく複数の部屋でBreakout(セッション)が行われます。 人気のあるセッションは部屋の定員に達してで入れないこともしばしばありました。 逆に言えば人の入りで注目度を測るといった現地参加ならではの目利きもできます。

例えばKubernetes 1.27以降で使えるInPlacePodVerticalScalingを紹介したこちらのセッションは長蛇の列がついていました。 セッションではMLワークロードやゲームサーバ周りで有用と言及されていましたが、たしかに技術領域としてどちらも使用しているNode-AIに相性のよい技術だと感じたので今後導入していきたいです。

DB Operator比較 (https://sched.co/1YeO5)のセッションの入室は空き待ち
会場はとても広いので移動もひと苦労

Solutions Showcase

会場にはSolutions Showcase(企業展示)コーナーもあります。

展示ブースのもよう

欧州で人気のスポーツ F1の強豪チームのスポンサーをやっているせいかOracle社ブースにはレーシングゲームがあったり、GitHub社ブースにはテーブル・フットボールの台があったりと地域色あふれるブースがいくつかありました。

ちなみにDocker社ブースにも同様のレーシングゲームがありましたが、そちらは新サービスのdocker build cloudではF1マシンのように速くイメージをビルドできることを表現した結果だそうな。

レーシングゲームは順番待ちするくらいの盛況っぷり

KubeConは一般的なイベントとは一味違い、各社ブースでの配布物がリッチです。 K3sを提供するSUSE社ブースではぬいぐるみやマフラーを配布していました。

Red Hat社のブースでは恒例の書籍配布 兼 サイン会が行われ長蛇の列となっていました。今回は米アマゾン販売価格$47相当の書籍が配布されていたそうです。

今回はぬいぐるみだけゲット その気になれば多くのグッズ集められるのでカバンには余裕を持って来ましょう

CNCFプロジェクトブース

学会でのポスター発表のような感じで各CNCFプロジェクトのコーナーもあり、メンテナと直接ディスカッションできます。今回のKubeConでは成熟度レベルに応じてブースを設けられる期間が決まっていたそうです。

お昼ご飯 / ケータリング

会期中は毎日お昼ご飯としてお弁当を提供してくれます。 Day1のCo-Located Eventsではフランス料理のような弁当のレベルを超えたものが出ましたが、Day2以降はKubeCon NA同様フランスパン型のサンドイッチとサラダ、デザートのセットでした。(正直おいしくはない)

会場にはケータリングもあります。今回はパン数種類に各種飲み物がありました。昨年のKubeCon NAではヨーグルトや果物があってかなり豪華だったので少し残念なポイントです。やはりパリは物価が高いのでしょうか。

左: 今回 右: 昨年のKubeCon NA

記念品 / ショップ

KubeConでは参加者に記念品としてTシャツが配られます。 写真の黒い方は昨年のKubeCon NAのもので、青い方が今回のものです。 さすがはパリ、何もかもが洒落ています。

名曲 "La Vie en rose (ばら色の人生)" になぞらえて "クラウドネイティブな人生"

ショップにはパーカーやTシャツ、リュックなど定番グッズも充実しています。

ショップのもよう

日本交流会@現地

KubeCon期間中には日本交流会が開催されました。 他社の方々と開発事情や技術活用のあれこれについて情報交換でき、とても貴重な時間を過ごすことができました。 企画してくださった方々やスポンサーとして支援してくださった企業の方々にはこの場を借りてお礼申し上げます。

まとめ

本記事では現地ルポと題し、実際に会場に足を運ばないとわからないような部分を中心に紹介しました。 今回はNode-AIのブラッシュアップや関連新サービス開発のための情報収集を目的に予めセッションの目星をつけて行きました。 その他にもふらりと立ち寄ったセッションでヒントを得ることもでき、今回も現地参加ならではの利点を十分に得られたと感じています。本記事が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。

© NTT Communications Corporation All Rights Reserved.