セキュリティカンファレンス「JSAC2025」に登壇してきた話

みなさんこんにちは、イノベーションセンターの益本(@masaomi346)です。 Network Analytics for Security (以下、NA4Sec) プロジェクトのメンバーとして活動しています。 この記事では、2025年1月21日・22日に開催されたセキュリティカンファレンスJSAC2025で登壇したことについて紹介します。

  • 私たちが観測したある2つのPhishing as a Service (PhaaS) の分析結果についての講演

ぜひ最後まで読んでみてください。

JSACについて

JSAC (Joint Security Analyst Conference) はJPCERT/CCが主催するセキュリティカンファレンスで、現場のセキュリティアナリストが集い、高度化するサイバー攻撃に対抗するための情報を共有することを目的に開催されています。 非常に注目を集めているセキュリティカンファレンスであり、数日で定員が埋まって参加申し込みが締め切られるほどです。 海外からも注目されており、今年のJSAC2025は海外からの登壇が半分以上を占めていました。 昨年のJSAC2024と比べると、明らかに海外比率が増加していて、国際会議としての色が濃くなってきています。 日本を含むAPACに関係している脅威についての講演が多数占めており、特に今年はAPT攻撃 (高度標的型攻撃) をテーマにした講演が多くなっていました。 また、メイントラックの講演以外にも、ハンズオン形式のワークショップなどもあります。

会場では、さまざまな職種や役割が書かれたシールを配布しており、参加者はそれを付けて参加します。

NA4Secについて

「NTTはインターネットを安心・安全にする社会的責務がある」を理念として、インターネットにおける攻撃インフラの解明・撲滅を目指すプロジェクトです。 NTT Comグループにおける脅威インテリジェンスチームとしての側面も持ち合わせており、有事において脅威インテリジェンスを提供し、意思決定を支援することもあります。 イノベーションセンターを中心として、NTTセキュリティ・ジャパンやエヌ・エフ・ラボラトリーズ(以下、NFLabs.)からもメンバーが参画し、日夜攻撃インフラを追跡しています。

昨年もNA4SecメンバーがJSACに参加しており、それについての記事がありますので、興味がある方はぜひ読んでみてください。

NA4SecによるJSAC2025登壇

NA4Secからは、フィッシング詐欺に関する講演が1件採択されました。 以下のタイトルで登壇させていただきました。

  • Analysis of Two Phishers : Like a doppelganger

サイバー犯罪を支援するためにさまざまなサービスが誕生しています。フィッシング詐欺においても同様であり、フィッシング詐欺を支援するPhishing as a Service (PhaaS) が存在しています。 PhaaSを利用することで、フィッシング詐欺をするための技術的なハードルが下がり、フィッシング詐欺をしやすくなります。 NA4Secで取り組んでいる活動の1つに、フィッシング詐欺についての脅威分析があります。 活動の中で偶然観測したある2つのPhaaSは、まるでドッペルゲンガーのように同じ振る舞いをしていることがわかりました。

  • ほぼ同じ時間に同じ投稿をしている
  • 使われているフィッシングサイトやツールが同じである

講演では、2つのPhaaSコミュニティで投稿されている内容や提供されているサービスの内容、2つの攻撃者の関連性などを紹介しました。 分析結果から、これらのPhaaSは何かしらの協力関係があるか、同じ攻撃者によって運営されている可能性があることについても言及しました。 また、PhaaSのフィッシングサイトや環境構築に使われているツールの分析結果、検知やハンティングについても紹介しました。 環境構築に使われるツールを分析することで、どのようにフィッシングサイトを構築されているかを理解できます。 なので、このような分析はフィッシング詐欺の実態解明につながる価値があると考えて紹介しました。

こちらに講演資料が公開されていますので、参加できなかった方もぜひ読んでみてください。(なお、一部の講演スライドを非公開にしています)

さいごに

昨年に続き、JSACで2年連続登壇させていただきました。 昨年のJSAC2024が初めての外部登壇でしたが、あの時と比べると、外部登壇にかなり慣れてきたような気がします。 国内有数のセキュリティカンファレンスを通じて、継続的にセキュリティ業界に貢献しつづけることができて良かったです。 この講演が、少しでもフィッシング詐欺の実態解明に貢献できればいいなと思っています。 今後も引き続き、何かしらの形でセキュリティ業界を盛り上げていくつもりでいます。

この講演に興味を持たれた方へ

攻撃者の詳細に関わる情報については、外部公開資料では非公開になっています。 ただ、サイバー攻撃に係る情報を共有することは実態解明や被害低減につながる価値があると考えています。 出張講演なども前向きに検討しますので、興味のある方はTeam NA4Secまでお気軽にご相談ください。(公開されている資料の最後の方に連絡先が書かれています)

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