APIを事業化する際に考えたい6つのこと

APIを新しいビジネスとして、新たな収益源にしたいと考えたとしましょう。通常のWebサービスであれば利用する度に課金したり、月額課金モデルなどが有名ですが、APIにおいてはまた別な観点で戦略を考える必要があります。

今回はそうしたAPI事業化に対する懸念点、調査すべき点を紹介します。

販売戦略を立てる

どのような事業であってもゴールや販売戦略が必要です。特にAPIの場合、開発者でない人たちに対してその良さをアピールするのは非常に難しいという問題があります。そのため、営業担当者が積極的に売りづらい商材になりがちで、なかなか利用が伸びなかったりします。

そういった事態にならないよう、あらかじめどう販売するか入念に考える必要があります。特にAPIは利用する側に開発を強いるものです。できあがった製品を購入するのとは違うので、そういった点からもどう売っていくかを考えなければなりません。

APIファースト

APIを戦略の軸において考えるならば、そのサービス全体がAPIで提供されているくらいの形で進めましょう。特にユーザ向けの管理画面では表示できる情報はすべてAPIでも取得できるべきです。そのためにはAPIファースト、APIありきで開発を行えば良いでしょう。

このような進め方はスマートフォンアプリであれば当たり前です。APIファーストによって、デバイスのUIという縛りをなくして、データ利用ができます。

ペルソナ

通常のマーケティングであればペルソナといえば個人ですが、APIが対象にするのはコンピュータになります。そのため、対象企業の事業や業種がペルソナになってきます。出版社や個人向け保険などであったり、決済やメール送信など機能単位で考える場合もあります。

ライバル調査

APIの場合、一度稼働しているものに対して乗り換えるニーズは強くありません。飛び抜けて安い、または使いやすいといった特徴が必要です。複数APIを織り交ぜることもできますが、それは希でしょう。

APIについては市場の独占化が強く行われるので、強力なプレイヤーが存在する市場は新規参入が困難です。

料金体系

日本企業においては予算を稟議にかけて承諾されると、その範囲内での出費が求められます。海外では1アクセスごとの課金など、運用してみないと予算がいくらになるか分からないものが多いですが、日本の商習慣に合っていないと言えるでしょう(現在は幾分認知されていますが)。

月額固定金額で利用できるのが日本企業にとっては理想と言えます。しかし、API提供側としては取り過ぎたり、逆にマイナスになる可能性も秘めています。なお、手数料型ビジネスである決済においては1トランザクションごとの課金が認知されています。向き不向きがあるかも知れません。

バランス型よりも特化型

ことAPIについて求められるのは単機能で分かりやすいものです。Webサービスのように様々な機能があって、ユーザが選択しながらサービス提供を行うのはAPIには向いていません。固定化された使い方をシステム連携で常時行っているのが一般的です。

将来的にAPIが増えていくのは構いませんが、最初については多くない方が良いでしょう。その単機能が市場に求められているかどうかで成否を決められる分、開発工数も抑えられますし、失敗時のリスクも下げられます。


APIは自動化されて動くので、料金を青天井にするのは利用側、提供側にとって大きなリスクになります。アラートを出したり、あらかじめ制限をかけておいて使えるようにするのが良いでしょう。

手数料型ビジネスが一般的に受け入れられているジャンルもあれば、そうでないジャンルもあります。自社で提供するAPIがどこにマッチするかを適切に判断しましょう。

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