APIを企画/提供する際に考えたい5つのこと

APIを公開して新しい収益軸にしたいと考える企業が増えています。しかし、その際に何からはじめれば良いか分かっていない方も多くいます。今回はAPI提供の企画段階から考えていくべきポイントを紹介します。

自社だけの資産を見つける

API公開する上で肝になるのが自社独自の資産です。独自性が強ければ強いほど、価値があり他社がおいそれと参入できないものになります。デジタルよりもリアル、その資産を取得するのに時間がかかったり、特殊な技能が必要、十分なお金がなければならないといった特徴があると有利でしょう。

例えば寺田倉庫では倉庫を持っているというのが最大の利点になります。Amazonは倉庫はもちろん、Amazonという超巨大Eコマースサービスを持っていること、他にも古物商や弁護士資格が必要な技能をAPI化するのも良いでしょう。

最小単位での利用を実現する

次にそれらの資産を細分化し、なるべく細かい単位で使えるようにしましょう。単位が大きい場合、それは月額の予算も大きくなりがちです。そうなると契約の締結なども大事になり、結果として大企業同士の提携レベルになってしまいます。それであればAPIという形をとるメリットが薄くなります。APIはロングテールビジネスとして考える方が分かりやすいはずです。

とは言えFinTech系では企業同士の提携によってプライベートAPIを公開しています。APIの特性によっても変わってくる点ではありますが、ターゲットを広く取るのであれば、利用単位はなるべく小さくすべきです。

前述の寺田倉庫であれば段ボール1個、1ヶ月単位での課金になります。AWSでは1万単位でのアクセスで数円であったり、少なく利用するユーザからは少なく、大規模に利用する企業からは十分に収益をあげるモデルになっています。

業務フローを自動化する

実際の業務はアナログで行うとしても、そこに至るフローをなるべく自動化しなければAPI化のメリットはありません。APIというインタフェースを用意したのであれば、その後のデータの流れも自動化していきましょう。APIをコールされるとメールが来て、それから普段の業務フロー…というのはナンセンスです。

APIを公開している企業において、社内フローが従来のままというのはよくあるケースです。これではAPIによる依頼増に対応できず、業務がパンクしてしまいます。API公開を計画するならば、現状業務の最適化についても検討すべきでしょう。

24時間対応できる部分を考える

APIは24時間365日稼働しているのが基本です。リクエストは常時発生します。すべてのリクエストをリアルタイムに行っていく必要はありませんが、なるべくキューに貯めすぎない仕組みが必要です。クラウドソーシングを活用するなど、時間に依らない運用体制を確立すべきです。

人の手による作業が入る場合、その作業状況を返すAPIを用意したり、Webhookで完了を通知する仕組みを用意するのが良いでしょう。人の手で行っている作業がAPIとしての付加価値につながる場合もあります(サンサンの名刺管理など)。

標準技術を積極的に取り入れる

日本企業はオリジナルの仕組みが大好きです。しかしことAPIについてはオリジナルの仕組みは喜ばれません。今であればOAuth2やOpenID、RESTful API、CRUD操作というのが標準であり、使っていくべき仕組みです。

APIは自社でももちろん使いますが、基本的には他者が利用するものです。そうした人たちにとって標準技術の方が取り入れやすいですし、問題があった時の解決も早いでしょう。


内部の仕組みが整っていないままにAPIを公開したとしても、業務の負荷が増すだけです。まず社内のフローを見直し、API公開に対応できる自動化を推し進めなければなりません。

とは言え、APIは企業のIT化を進める上でも重要な観点になります。自社の資産を見つけ、それを新しい収益源に展開しましょう。

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