学び続けるエンジニアを育てる、twadaラボの取り組み紹介

本記事では、学び続けるエンジニアを育成するための取り組みである、twadaラボという取り組みを紹介します。まず既存の研修では対応できない育成上の課題を示し、それを踏まえたtwadaラボのコンセプトや実施内容を説明します。

はじめに

NTTコミュニケーションズでソフトウェアエンジニアをしている川瀬です。 NTT Comでは2023年の6月から9月にかけて、技術顧問のtwadaさんとともにtwadaラボというソフトウェアエンジニア育成のための取り組みを実施しました。 本記事では、その背景や取り組み内容を紹介いたします。

背景

NTT Comでは、MOOCを活用した独学支援から、twada塾やテスト駆動開発(TDD)ワークショップといったWebアプリケーション開発の基礎を身につけることのできる研修、サービス内製開発チームでのOJTなど、すでにさまざまな育成施策があります。これらを活用することで、単なる机上の学習にとどまらず、得た知見を活かす業務経験を積むことができます。

しかしながら、これら既存の研修では対応しきれない課題も存在します。

  1. 既存の研修や業務で獲得できる技術の幅や深さは、限定的である
    既存の研修で内製開発の基礎を学ぶことができるものの、業務で必要になる技術全てをカバーしているわけではありません。それらがシラバスに含まれた研修がなければ、独学で学んでいかなければなりません。加えて、もし仮に業務上十分な技術を習得できたとしても、同じ業務を続けていくだけでは、そこからさらに専門性を高めることは難しいでしょう。業務において活用している技術によって自身の専門性が頭打ちになり、成長している実感が湧かなくなってしまうのです。

  2. 技術研鑽のための時間が不足している
    業務に必要な技術研鑽は業務時間内に行うべきであるという指摘はもっともです。しかし、実際に業務時間内に技術研鑽のための時間を割く余裕が、常にあるわけではありません。「今すぐやらなければならないタスク」から「緊急性が低いものの重要なタスク」まで、すべきことはいくらでもあります。それらに日々追われる中で、さらに業務時間内に独学の時間を設けるのは、現実的には難しいのではないでしょうか。

  3. 学習を継続しづらく、学習効率も良くない
    独学では、わからないことやうまくいかないことに直面したとしても、自らの力で解決しなければなりません。また、利用する学習リソース(本や動画等)の調査も自ら行わなければならず、その内容が古かったり誤っていたりすることがあるでしょう。人に頼らず学習を進めていくことにより、困難に直面した時にモチベーションが低下したり、学習の効率が低下してしまいます。

課題の1で述べたように、個々のエンジニアが求める専門性は多岐に渡りながら、日々変化もしています。その全てについて研修を用意することは現実的には不可能です。よって、従来のように特定の技術習得を目的とした研修を新たに立ち上げても、これらの課題は解決できません。そこでNTT Comでは、以下のコンセプトで新たな研修を立ち上げました。

コンセプト

新たに立ち上げた研修「twadaラボ」では、以下の3点を特徴としています。

  1. 学び方を学ぶ
    エンジニアが習得すべき技術は幅広く、それら技術は日々進化し続けています。よって研修終了後も自ら継続的に学んでいかなければなりません。本研修で学び方を学ぶことで、本研修後も効果的な学びを継続できるエンジニアの育成につなげます。

  2. 学習を継続しやすい仕組みを取り入れる
    学習のモチベーションを維持向上させるため、研修内では頻繁に自ら学んだ内容に関する発表の場を設けています。これにより、他の参加者の発表から刺激を受けつつ、締め切り効果が発揮される環境の中、高いモチベーションで学習を進めることができます。

  3. 業務に繋がる学習をする研修として、学習時間を確保する
    研修として学習時間を確保することで、期間中参加者がスキルや知識の獲得に集中できる場をつくります。研修において学習する目的は、参加者個々が業務につながる技術領域を踏まえて自ら決定します。こうすることで、担当業務へ還元できることはもちろん、研修期間中に所属チームからのサポートを得られやすくなり、学習時間を確保しやすくなることも期待できます。

実施内容

前述したコンセプトをもとに、twadaラボ参加者は以下のようなことを行いました。

学習計画の策定

自身の現状を分析し、学習目標を踏まえて学習計画を作ります。これは事前課題として各参加者が作成し、学習を進めながら随時アップデートしていきます。これにより、自己調整学習を実践していくための能力を身につけていきます。

学習

参加者は学習に専念する時間として1日/週程度確保し、学習計画に沿って自身の学習を進めていきます。後述する通り、週に1回アウトプットの機会があるため、それを念頭におきながら学習を進めていくことで、学習効果の向上を目指します。

技術顧問によるメンタリング

技術顧問であるtwadaさんとの1on1を、20分/週程度行います。この場で、効果的に学習目標に至るためのアドバイスを受けたり、自身が学習途中で直面した困難について相談したりできます。

アウトプットとフィードバック

週に1回、学習や技術顧問によるメンタリングとは別に、参加者全体に向けた発表の時間を設けています。これにより、自ら学習を継続するモチベーションを維持しながら、参加者間での知見やアイデアを共有できます。期間中最後の発表の時間は最終発表会として、期間中各々が学んだことの総まとめを披露します。

テーマ例

2023年の6月から9月に開催したtwadaラボの参加者は、それぞれ以下のようなテーマでラボの活動に取り組みました。

twadaラボでは、参加者自身の業務とつながりうるテーマを選択することを推奨しています。参加者の好奇心を満たしながら、エンジニアとしてのスキルアップと業務への還元の両立を狙っています。

終わりに

本記事では、学び続けるエンジニアを育てるための新たな取り組みである、twadaラボを紹介しました。twadaラボでは、参加者自身が自ら深掘りしたいテーマを定め探求していくことで、専門性を高めつつ学び方そのものを習得していきます。 NTT Comでは今後も、エンジニアのスキルアップを支援するさまざまな施策を行なっていきます。twadaラボもその1つとして継続的に開催し、学び続けるエンジニアをより多く輩出することを目指します。

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