Interop Tokyo 2024 〜 AWS Outpostsサーバーを用いた5Gメトリクス監視の取り組み紹介 〜

はじめに

こんにちは、イノベーションセンターの藤田、鈴ヶ嶺です。NTTコミュニケーションズ株式会社 (以下、NTT Com) は、世界最大級のネットワーク展示会である 「Interop Tokyo 2024(会場:幕張メッセ、会期:2024年6月12日〜14日)」 におけるShowNetに対し、コントリビューターとしてローカル5G(以下、L5G)システムに携わりました。その取り組みに付随して、ShowNetと連携しAWS Outposts サーバーを用いたメトリクス監視基盤を構築しました。本記事ではその構成について解説します。

AWS Outpostsは、AWSのハイブリッドクラウド製品です。オンプレミス上に製品を設置してPublic AWSと同じような操作性でインフラストラクチャとサービスを作成できます。詳細については以下のリンクをご参照ください。

https://engineers.ntt.com/entry/2023/03/24/095642

メトリクス監視のアーキテクチャ

5G ネットワークでは通信品質の向上や保守運用のため、各セグメントごとに取得される大量のメトリクスデータを監視・可視化・分析する必要があります。 本アーキテクチャではエッジでのリアルタイム監視に加え、クラウドで大容量のデータを可視化・分析する基盤を構築しました。

エッジではAWS Outposts サーバー上にEC2インスタンスを構築し、EC2にて動作するPrometheusからLNI経由でオンプレミスのメトリクスデータを取得しています1。 これによりリアルタイムでパケットのドロップ率やセグメントごとのパケット流量なども可視化できるため、トラブルの早期発見やボトルネックの特定も期待されます。 EC2上のPrometheusで取得したデータはVPC経由でPublic AWS上のAmazon Managed Service for Prometheusに送信され、データを統合して蓄積しています。 エッジで一時的に蓄積することにより、通信量の削減や省電力化が見込まれます。 例えばリアルタイムなアラート処理はエッジ側で実施、モニタリングは全データを送るのではなくn秒間の統計値(平均、中央値)などをクラウドに送信することでデータ量を約1/nに削減できます。

クラウド上での可視化・分析についてはPublic AWSにてAmazon Managed Service for Prometheus、Amazon Managed Grafanaを利用し、スケーラビリティを担保しつつ運用コストを抑える構成にしました。

AWS Outposts サーバーを用いることのメリット

AWS Outposts サーバーを用いて監視基盤を構築することは、1から基盤を構築することと比べて、以下のような点でメリットがあります。

  • Public Cloudサービスとの親和性

  • 統一されたセキュリティの担保

Public Cloudサービスとの親和性

データの転送や集約するためのネットワーク設計や集約基盤との統合を1から作ろうとすると膨大なコストが必要となります。 AWS Outposts サーバー上に構築したEC2インスタンスはPublic AWSのVPCとシームレスに接続可能です。 また、VPCエンドポイントを利用することでインターネットに出ることなくPublic AWSのさまざまなサービスとの統合が簡易に可能となっています。 これらによりオンプレミスにありながらPublic Cloudのサービスとの親和性があることで、自動化やマネージドサービスの恩恵であるオペレーションコストの削減が見込まれます。

統一されたセキュリティの担保

オンプレミスにて監視基盤を構築する場合、多くの設定項目やセキュリティポリシーの統一化や統合は困難です。 AWS Outposts サーバーは、EC2インスタンスへのIAMロール設定やセキュリティグループの設定により、統一されたセキュリティポリシー設計ができます。 加えて、AWS Outposts サーバーはハードウェアまで含めてマネージドなサービスであるため、セキュリティアップデートなどもAWS Outposts サーバーのユーザー側で実施する必要はありません。 またこれらの設定はAWSコンソールやawsコマンド経由で統合的に管理が可能であるため、拠点が多くなった場合も自動化が可能となり、ヒューマンエラーの低減にも繋がります。

まとめ

本記事ではInterop Tokyo 2024のShowNetと連携したAWS Outposts サーバーを用いた5Gメトリクス監視の構成について紹介しました。 今後は更なる自動化を目指すと共にリアルタイム分析のフィードバックやエッジにAIの処理を組み込む検討をしつつ、サービスへの応用について検討していきます。

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