マッシュアップをビジネス化するメリット、デメリット

APIを複数組み合わせて新しい価値を作り上げるのがマッシュアップです。日本ではMashup Awardが毎年開催されており、数多くのマッシュアップ作品が生み出されています。中にはそれをベースにビジネス化に乗り出す方々もいます。

そこで今回はマッシュアップサービスをビジネスとして考える時のメリット、デメリットについて解説します。

メリット

元になるデータが不要

APIが提供するデータを使うので、手元にデータがなかったとしてもすぐにサービス開発できるのがマッシュアップの魅力でしょう。ホテル、駅、地図、サーバなどあらゆるリソースがAPIを介して利用できます。

少ないリソースではじめられる

例えば位置情報に関連したサービスを考えた場合、ある地点を軸とした周辺情報を返すAPIを使うでしょう。本来、位置情報を使った検索処理は負荷が高かったり、複雑なシステムが必要ですが、そうした開発は一切不要で利用できます。

また、画像変換や天気情報なども複雑なロジックを気にすることなく使えるのが魅力です。自分たちでゼロから構築したら時間も工数もかかる作業ですが、APIを使うことですぐに手に入れられます。

公式では提供できないアプローチができる

API提供元でもサービスを運営しているケースは多いです。そんな時にマッシュアップで似たようなサービスを作ってもなかなか流行らせるのは難しいかも知れません。しかしニッチ戦略をとることで十分にメリットあるサービスを作ることができます。

本家にはアプローチしづらい特定の市場向けに作ったり、特定用途に向いたUIを作ることもできます。そうした小さな市場向けに特化するのは公式サービスとしては難しいですが、マッシュアップであれば容易に作ることができます。

相対するサービス同士を結合することも可能

主に比較系サービスを考えた場合、複数の類似APIを組み合わせることが多いでしょう。そうしたサービスもまた、公式では提供しづらいのでマッシュアップならではのアプローチと言えます。

競合が存在するからこそ使える手法と言えるでしょう。利用者にとっては大きなメリットがあるサービスになるので、そこから収益をあげることもできるはずです。

デメリット

API提供元の決断で左右される

マッシュアップの最大のリスクと言えます。API提供元が突然API提供を止める(またはメンテナンスする)、利用制限をする、APIのフォーマットが変わるなど考えるべきリスクは数多くあります。

こうした潜在的リスクを回避するためにはあらかじめ法人契約したり、SLAが保証されたAPIを選定すると言った工夫が必要でしょう。

権利問題

APIが提供するデータ、画像などは基本的に権利はAPI提供企業にあります。つまり自分たちのものだと言えるデータがないのがマッシュアップのリスクと言えます。例えばAPIが応答不能になった場合を考えてキャッシュしたいと思うかも知れませんが、規約によって禁じているものもありますので注意が必要です。

キャッシュに関連して、API提供元でデータを消したのにマッシュアップ側で残ってしまうケースがあります。ユーザの不満につながったり、最悪の場合刑罰につながるリスクもあります。

真似が容易

マッシュアップはロジックの差になるので、真似がしやすいのがデメリットと言えます。回避するためには自分たち独自のデータを用意するべきでしょう。もちろんマッシュアップされたコンテンツを独自データにすることもできます。

Webサービスは一般的に模倣しやすいですが、マッシュアップでは特にその傾向が高くなります。他社に真似されない、独自の技術やコンテンツを蓄積する必要があります。


マッシュアップはWebサービスを一から作るのに比べると格段にはやく、かつデータの揃った状態で開発ができます。もちろんそれは他社にとっても同様で、すぐに真似されるリスクはあります。

それらのリスクを回避する手段はありますので、リスクを理解した上で進めれば決して問題にはならないでしょう。ビジネスにつながるマッシュアップをぜひ考えてみてください。

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