データエクスポートのメリットとは?

APIですべてのデータを発信することに対して危機感を抱くというのはよくあることです。類似の他社サービスに簡単に乗り換えられてしまうのではないか、乗り換え用の変換ツールを作られてしまうのではないかと言ったことが考えられるでしょう。

しかし利用者視点で考えるとデータエクスポート系の機能はとても大事なものです。そして、それは翻って自社サービスにとってもプラスの価値を持つものになります。

移行するのは簡単ではない

いくら機能としてエクスポートができるとしても、実際に乗り換えるというのは大きなコストです。実際に使われるのはサービス自体が終了する時くらいでしょう。

APIを他社と全く合わせて提供するのは困難です。似たような機能を提供するAPIであったとしても、インタフェースは異なるのが一般的です。そのため、サービスを移行したとしても新サービスに合わせた開発は必ず発生します。そうしたコストは決して小さくないため、乗り換えは困難になります。

移行するのはサービスの質の問題

大きなコストを払ってでもサービスを変えようと考えるのはよほどのことです。つまりAPIにエクスポート機能があろうとなかろうと乗り換えたくなるくらいサービスの質に差があるということです。エクスポート機能がない、サービスの質が悪いという状態は利用者にとって大きなデメリットであり、サービスに対して悪い印象しか残らなくなってしまうでしょう。

エクスポート機能が与える安心感

しかしエクスポート機能が提供されているだけで利用者に与える心象は大きなプラスになります。いざとなれば(そのいざは殆どないわけですが)載せ替えできるという安心感がサービスに対する信頼につながります。

バックアップ機能になる

APIのデータがきちんと履歴管理されているならばまた違いますが、多くのAPIは最新のデータを返すものが多くなっています。そのため利用者視点で考えるとデータが誤って削除されたり更新されてしまった場合に備えてバックアップを取っておきたいと考えるでしょう。

日々自動的にエクスポートが行えるならば、それがバックアップとして利用できるようになります。載せ替えはしなくとも、バックアップ目的でエクスポートを利用したいというのはよく聞く話です。

選定時のメリット

これからAPIを使っていこうと考えている開発者が類似のサービスを見比べた時、エクスポート機能を備えているものとそうでないものがあったとします。その時エクスポート機能を備えているものは大きなアドバンテージになります。

開発者として、データのロックインを嫌います。特にAPIのようにシステムで自動連携、日々データが蓄積されていくものは使い始めたが最後、データは増えていく一方です。それがロックインされているというのは経営上のリスクにもなります。

エクスポートできるということは、最後のハンドリングは自分たちでできるということです。エクスポート機能の有無は選定に大きく関わってくるでしょう。


API提供企業としては一度使い始めたユーザを取りこぼしたくない、逃したくないと考えるのは自然なことです。その結果、データをロックインする傾向にあります。しかし、逆に利用者視点で考えるとロックインされるのはリスクでしかありません。

API提供企業は利用者を増やすためにも、利用者視点でサービスを提供することを考えなければなりません。特に対開発者という視点で考えると、データのロックインは最も避けるべきことと言えます。

© NTT Communications Corporation All Rights Reserved.