後から気づいたSlackでの分報がもたらすメリット

こんにちは、普段はSkyWayの開発・運用をしている岩瀬(@iwashi86)です。

SkyWayチームでは、普段のコミュニケーションツールとしてSlackを活用しています。SkyWayチームでは、リモートワークを積極活用しているので、非同期で気軽に連絡が取れるSlackは重要なコミュニケーション基盤となっています。 

Slackの使い方としては、いわゆる分報を導入しています。分報とは具体的には、個人のpublic channelを用意しておいて、「今やっていること」「困っていること」「今の気持ち」など、普段考えていること・思っていることを各メンバが積極的にアウトプットするという方法です。

この分報は、当初は「仕事の進捗共有」・「学びの共有」・「課題の共同解決」が主なメリットだと考えていたのですが、分報を続けるにあたり、最初に気づけていなかった他のメリットが見えてきました。

以降、本記事では、先にSlack・リモートワークで失われる点(デメリット)を最初に説明した上で、分報が解決する点(メリット)について説明します。

Slack、リモートワークのデメリット とは

Slackでは、Direct Message(DM)というプライベートなチャット機能があります。DMは非常に気軽に使えるため、ちょっとした問い合わせに便利です。たとえば、「社内システムの使い方が分からないけど、Aさんなら知ってるから聞いてみる」といったケースで、DMで問い合わせするようなケースがあります。本ケースではメンション範囲もAさんに限定されるため、良いと思われるかもしれません。

しかし、一方でデメリットもあります。そのデメリットとは、「誰が何を知っている」「誰と誰が話をしている」という点が隠蔽されるという点です。

誰が何を知っている とは

1人の人間がすべての業務・技術などを把握するのは不可能です。そこで、実際にスムースに業務を進めるためには、ある分野に詳しい人に質問をして、助けてもらいながら業務を進めることが不可欠です。これは、日常で業務を進めるにあたり、誰しもが自然にやっていることかと思います。

仮にSlackが無い状態で、1つの場所に集まって業務を進めている場合、漏れ聞こえてくる会話を耳から得ることで、「あぁ、Aさんはhogeに詳しいんだな」という情報を知ることができます。

同様の問題に困った場合は自分が問い合わせできるように、また同僚が同じ問題で困ってるのを見つけた場合には、自然とリダイレクトできるようになります。

SlackのDMで問い合わせが閉じてしまう場合は、この「誰が何を知っている」が隠蔽されてしまいます。

誰と誰が話している

先ほどは会話が漏れ聞こえてくる場合のケースでしたが、遠方で音が届いてこない場合であっても、有用な情報があります。それは、誰と誰が話している、という視覚情報です。たとえば、自席から遠くでAさんとBさんが話している、といったケースです。

このとき自身は、「あぁ、AさんとBさんは仕事の関連がある、または、雑談をする関係であるんだな」と理解します。これは、何気ない情報なのですが、実際に重要な情報になることもあります。たとえば、自身とBさんは直接のつながりがなくても、Aさん経由でつながりがある場合は、最初の仲介だけお願いしておくと、その後のコミュニケーションが円滑になることがあります。

SlackのDMが増えてくると、「誰と誰が話している」という情報が見えなくなるため、上記のような情報を落としている場合があります。

なぜ分報が上記のデメリットを解決するのか?

分報の導入によって個人用のPublic channelができると、DMではなく、そのchannelにちょっとした問い合わせ・雑談を書くようになります。

たとえば、こんな感じです:

非常に単純な一瞬のやり取りですが、誰が何を知っている・誰と誰が話をしている、というのが可視化されます。結果として、前述したSlack&リモートワークのデメリットが軽減できます。このデメリット軽減が、分報を導入して後から気づいたメリットです。

その他の細かいメリットとして、分報チャンネルに非メンションでメッセージを書くと、たとえば休暇中などに相手に通知を飛ばさなくて済む(気にしなくても済む)、という点もあります。不急の用事だけど、忘れないうちに書いておく、といった使い方ができます。

最後に

執筆者の私見ですが、「情報は透明であるべき(隠蔽されるのではなく、オープンにされるべき)」と考えています。情報が隠蔽されると、そこに権力が生まれてしまい、業務のブロッキングになるからです。

分報は情報を透明にする1つの手法として効果的です。試しに導入してみてはいかがでしょうか?

おまけ / 参考値: 分報を導入しているチームでの例

Slackは毎週、チームでやり取りされているメッセージ数(Public channel、Private channel、DMの割合)を、管理者に通知してくれています。たとえば、SkyWayの開発・運用で使っているSlack Teamは以下のようになっています:

public channelの割合(上のSkyWayチームの例でいうと94%)が透明性のバロメータと言えます。

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