はじめに
イノベーションセンターの松下です。 NTTコミュニケーションズ株式会社 (以下、NTT Com) は、Interop Tokyo 2022のShowNetにおいて、 低遅延ライブ配信プラットフォームSmart vLiveによる4K低遅延ライブ配信を展示しました。 この記事では、ShowNetでの展示の模様をお伝えします。
Smart vLive
Smart vLiveは、1秒未満の遅延で映像をライブ配信できるサービスです。 ブラウザでの通話やWeb会議に用いられる技術であるWebRTCをライブ配信に応用することで、既存の技術では難しかった1秒未満の遅延を実現しています。 これまでWebRTCを用いたライブ配信では同時視聴者数に制約がありましたが、Smart vLiveはライブ配信に特化したシステムとして設計され、視聴者数が1万人を超える大規模なイベントにも対応できます。 また、複数のアングルを同時に配信できるマルチアングル機能により、視聴者が好みの映像を選択して楽しむこともできます。 2021年7月のサービス開始以降、スポーツ・エンタメ・オークション・金融など、様々な業界でご活用いただいています。
Smart vLiveのシステム構成
Smart vLiveは2段構成のシステムとなっています。 1段目のメディアサーバは、一般的なライブ配信サービスと同様にRTMPで映像を受信します。 メディアサーバは受信した映像をリアルタイムで処理しつつ、2段目のWebRTC配信サーバに送ります。 WebRTC配信サーバが視聴者との間でWebRTC通信を行い、映像を配信します。 多段構成を取ることで、視聴者が増加してもシステムをスケールできる構成となっています。 各コンポーネントでの映像処理では細かいチューニングを重ねて低遅延を追求しています。
ShowNetにおけるMedia over IPの取り組み
今回のShowNetでは、初めての取り組みとしてMedia over IP Pavilionが設置されました。 Media over IP Pavilionでは、映像と音声といったコンテンツをIPネットワークを使って伝えるための最新のソリューションが紹介されました。 IP中継車や本格的な映像関連の機器が展示され、多くの人が来場していました。
また、ShowNetのラックにもMedia over IP関連製品が展示され、これまでのShowNetでは見慣れないような製品に注目が集まりました。
ShowNetにおける展示内容
NTT Comは、Media over IP Pavilion内に設置されたShowNetスタジオの模様を4Kでライブ配信するデモを行いました。 Smart vLiveでは1080pまでの解像度をサポートしていますが (2022年6月現在)、4K解像度で安定して低遅延ライブ配信を提供し続けられるか検証することが今回の課題でした。 今回の実験では、IP中継車から受け取ったShowNetスタジオの映像をエンコードし、ShowNetのネットワークを通じてクラウド上にあるSmart vLiveの配信エンドポイントにアップロードしています。
ShowNetスタジオでは、ShowNetに関わるエンジニアによる最新の技術に関するセッションが行われました。 セッションの内容はSmart vLiveを通じて配信され、会場の内外で視聴されました。 なかには、Interopのブース内でSmart vLiveを通じてセッションを視聴して簡易的な生中継のようにお使いいただくなど、低遅延を生かした新たな利用シーンも見つかりました。
この写真は、ShowNetスタジオのセッションをライブ配信している様子です。 写真の右側のモニタがIP中継車から受け取った映像、左側がSmart vLiveを通じて視聴している映像です。 4K解像度でも1秒未満の遅延でライブ配信できることが確認でき、来場者の方にも遅延の小ささを体感いただけました。
おわりに
Interop 2022のShowNetにおける、Smart vLiveによる4K低遅延ライブ配信のデモについて紹介しました。 Media over IPの取り組みは初めてのことが多く準備期間中は様々な課題に直面しましたが、関係者の皆様のご尽力によって無事に会期を終えることができました。 今回のデモでは、Smart vLiveを用いて3日間の会期中安定して4K解像度でライブ配信を実施できました。 今後は、今回得た知見を活かしながらSmart vLiveのさらなる機能追加や品質向上に取り組んでいきます。
Smart vLiveの開発チームでは、新たなライブ配信・コミュニケーションのプラットフォーム開発を担当いただけるエンジニアを募集しています。 低遅延かつスケーラブルなライブ配信システムの開発は技術的にも多くの課題があり、エンジニアとして未知の領域を楽しみながら開発しています。 今回の記事を読んでご興味を持っていただけましたら、お気軽にお問合せいただければ幸いです。