Interop Tokyo 2023 〜 L5G x AWS Outpostsサーバーの取り組み紹介 〜

はじめに

こんにちは、イノベーションセンターの藤田、鈴ヶ嶺です。NTTコミュニケーションズ株式会社 (以下、NTT Com) は、世界最大級のネットワーク展示会である 「Interop Tokyo 2023(会場:幕張メッセ、会期:2023年6月14日〜16日)」 において構築されるShowNetに対し、コントリビューターとしてローカル5G(以下、L5G)システムを提供しました。その基盤としてAWS Outpostsサーバーを構築し提供しました。 本記事ではその構成や技術的な挑戦について解説します。

AWS Outpostsサーバーを用いたL5G基盤構築への挑戦

今回ShowNetにてL5G基盤をAWS Outposts サーバーを用いて構築するにあたり、2点の挑戦をしました。

  • Flexible InterConnectを利用したハイブリッドクラウドネットワーク
  • EKS x EC2セルフマネージド型ノード on AWS Outpostsサーバー基盤

Flexible Inter Connectを利用したハイブリッドクラウドネットワーク

今回会場では、NTTドコモのキャリア 5G とNTT ComのL5G を組み合わせた環境で、ネットワークスライシング連携のデモンストレーションを構築・展示しています。その構築・展示に当たり、NTT Com内製のマイクロサービス開発フレームワーク Qmonus を活用しました。 このデモンストレーションを実現するためには、AWS Outposts サーバーをはじめとするオンプレミスと、Public Cloud (Public AWS) 間を安定して接続する必要があります。 本構築ではFlexible InterConnect、FIC-Connection AWSを利用することで、AWS OutpostsサーバーほかオンプレミスとPublic AWSに対して専用回線による安定した接続が可能なネットワークを実現しました。

EKS x EC2セルフマネージド型ノード on AWS Outpostsサーバー基盤

AWS OutpostsサーバーをL5G基盤として利用するにあたり、構築可能なEC2インスタンスタイプの制限があるため柔軟なリソース配分がしづらい問題がありました。 今回の構成ではより柔軟かつ可用性の高い基盤提供を目指し、Public AWSにてEKSクラスターを構築しAWS Outpostsサーバー上のEC2インスタンスをEKSのセルフマネージド型ノードとして動作する構成に挑戦をしています。 AWS Outpostsサーバー上のEC2インスタンスは同一VPC上に構築されたPublic AWS上のEC2インスタンスやEKSクラスターと疎通可能であるため、EKSの機能を利用しつつAWS Outpostsサーバーの機能であるLocal Network Interface(以下、LNI)を通じたpodレベルでのオンプレミスのネットワークとの接続を実現しています。 本構成によりAWSのマネージドなサービスをオンプレミスまで拡張することで、オンプレミスのネットワークと統合しつつ柔軟なリソース配分が可能となる可用性の高い基盤の提供に成功しています。

発見した課題

L5GのUPFをAWS Outpostsサーバー上に構築するにあたり、モバイル特有の処理を高速化する観点から1つのpodに対してLNI経由で複数のインターフェースをアタッチしDPDK経由で複数のVLANを接続をする挑戦も行いました。 しかしLNIはPromiscuous modeをサポートしていないため、macvlanによるNICの仮想化ができません。1 またENA Poll Mode DriverはVLANをサポートしていないため、tagged vlanを利用できません。2 以上から、本構成においてDPDK経由で複数のvlanを利用する高速化が困難であるといった課題が発見されました。

まとめ

本記事ではInterop Tokyo 2023のShowNetにおいて、L5G基盤に利用したAWS Outpostsサーバーの構成について紹介しました。本構成ではいくつか課題も見つかったため、それを踏まえてより柔軟性が高く可用性の高い基盤の提供を目指していくと共に、NTT Comのサービスへの応用について検討していきます。

© NTT Communications Corporation All Rights Reserved.