自社データをAPIとして公開することを考えた際にポイントとなってくるのが、そのAPIによってどんなメリットがあるのかということでしょう。企業としてAPIを公開する以上、単に公開して終わりという訳ではありません。そこには新しい収益源になる可能性があってこそだと思われます。
そこで今回はAPIを使った主な収益化の方法について紹介します。
データの販売
自社の持っているデータが貴重なもの、または特許や資格が絡むといった理由で他の企業との差別化が図れる場合は、そのデータ自体を有料で販売する方法が考えられます。
例えばIPアドレスから地域情報を返すデータベースを持っているDigital Element、どこどこJPであったり、天気データを販売している天気予報APIもあります。地図データをGoogleマップに提供しているゼンリン社もよく知られています。
既存サービスのアドオン
すでにWebサービスを提供しており、APIは有料で利用できるようしているサービスも多数あります。一般ユーザであればWebサービスでも十分ですが、企業が大量の処理を自動化する中ではAPIを使いたいというニーズがあります。そこでAPIを有料として提供します。
自動化、スピードアップなど企業でよく発生するニーズに対応できるようになります。APIを追加機能とすることで、課金ターゲットにすることができます。
既存サービスの機能拡充
もし自社で何らかのWebサービスを提供している場合、さらに機能拡充を狙って他社のAPIを使うことが考えられます。単体機能では使いづらくとも、自社のサービスと合わせることで魅力的になるのであれば取り込む価値があるでしょう。
Yahoo空席レーダーではトレタ社のレストラン予約データを使って提供されています。Yahoo空席レーダー自体は有料ではありませんが、ユーザの囲い込みに大いに貢献しているサービスになります。
他の企業との提携
他の企業との提携を考えた場合、今はAPIを用いた自動化が当たり前になっています。むしろAPIがない場合、提携も進めづらい状態と言えます。相互にAPIがあるからこそ、自動化ができたりインタフェースのすり合わせもスムーズに行えるようになります。
APIを汎用的に設計、開発することで一社のみならず複数企業との提携も容易に行えるようになります。さらに大手との提携が進めば自分たちのAPIが業界標準となっていくことも考えられるでしょう。
機能の販売
APIで提供されるのは何も自社データに限りません。画像加工であったりグラフの出力などデータ加工を行うAPIも有料で提供されることがあります。その場合、あまり簡単なものであると他社に簡単に模倣されてしまいますので、自社独自の技術が合わさってこそ収益化も考えられるようになります。
例えばクラウド上で動画を変換するサービスであったり、3Dモデリングを行うサービスもあります。大量のリソースを使うサービスであってもクラウド上の基盤を用いることで安価、かつ高速に処理できるようになります。
APIを公開しただけではなかなか利用が伸びるものではありません。利用が伸びない中ではAPIの追加開発も困難になります。Webサービスと異なり、UIがない中でのサービス提供となると打ち出し方、ビジネスモデルも変わってくるでしょう。
B to BにおいてAPIを開発する際にはまず適切なビジネスモデルを組み上げた上で行わなければなりません。もしそれがうまくいったならば、自社の新しい収益源として大いに貢献してくれることでしょう。