NTT Comのエンジニアコミュニティイベント【Tech-Night/Tech-Midnight】

はじめに

こんにちは。Smart Data Platform (SDPF)クラウド/サーバー SDNチームの田島(@UdonYuya)です。

普段はSDPFクラウド/サーバーのSDN(Software Defined Network)基盤の開発をしています。

この記事では、2022年12月9日に開催されたTech-Nightと、2022年12月28日に行われたTech-Midnightいうイベントをご紹介します。

Tech-Nightとは

Tech-NightはNTT Com内の有志で開催している発表会です。 業務や趣味で技術的に挑戦したことやサービスの裏側について部署の垣根を越えて共有することや、アウトプットの場、対外発表の練習などを目的として開催しています。 定期開催しており、最近は3ヶ月に1度の頻度で開催しています。

第1回目の開催はこちらで紹介されている通り、 2018年12月の開催で、今回の開催で4年間続くイベントとなりました。

Tech-Nightの発表内容

今回のTech-Nightでは次の6つのテーマの発表がありました。

  1. とう道見学&チーム定例の議事録を工夫した話
  2. JenkinsからGitHub Actionsに移行してCIの実行時間と安定性を改善した話
  3. プロジェクトX ~データセンターYから撤退せよ~
  4. 【新入社員が】Firecracker論文【読んでみた】
  5. OCNにRPKI入れた話
  6. GitHubの社内レポジトリ探検してみた

それぞれの発表の簡単な紹介をします。

とう道見学&チーム定例の議事録を工夫した話

1つ目はSDPFクラウド/サーバーの仮想サーバーチームの宮岸さん(@daiking1756)からの発表でした。 この発表では、「とう道見学紹介」と「チーム定例の議事録を工夫した話」の2つのトピックが話されました。

とう道見学

とう道は通信ケーブルを通す地下トンネルのことで、NTTでは一部地域でこのとう道の維持管理を行っています。

参考:

このとう道の見学会がNTT Comでは定期的に行われており、担当者さんが丁寧に各設備の説明などを行ってくれるそうで、 ケーブルが束ねられ鉄の管の中に通されている様子も実際に見て確かめることができるそうです。

このような通信の超低レイヤをこうして体験できるのもNTTならではのことではないかと思います。

地下の大きなトンネルなので、なんとなく寒そうなイメージを私は持ったのですが、意外とそんなこともないらしく10月の朝でも中は暖かったそうです。 実際に行ってみないとわからない意外な発見ですね。

次回の開催時は私も応募して参加したいなと思っています。

チーム定例の議事録を工夫した話

次にチーム定例の議事録を工夫した話で、宮岸さんが定例会議に持った課題感とその改善策について話していただきました。

定例会議で特定のスコープの話にフォーカスしすぎて他のタスクの議論が疎かになってしまうなど、 定例会議の課題は多くの人が多かれ少なかれ抱えていてると思います。

このテーマはNTT Comの開発者ブログにも書かれているのでぜひチェックしてみてください。

JenkinsからGitHub Actionsに移行してCIの実行時間と安定性を改善した話

2つ目は飯國(@guni1192)さんからの発表でした。 飯國さんはSDPFクラウド/サーバーにおけるネットワークコントローラ ESI (Elastic Service Infrastructure)の開発をされています。

このテーマもNTT Comの開発者ブログにも書かれているのでぜひチェックしてみてください。

飯國さんは1年目社員の方だったのですが、新しくチームに入ったばかりにも関わらず、 現行CI基盤の課題を正しく汲み取って要件定義し、問題を推測ではなく計測によって発見・改善されています。

CI基盤の改善は社内の他チームにとっても重要な課題であり、知見の共有としてもかなり意味のある発表でした。

プロジェクトX ~データセンターYから撤退せよ~

3つ目はSDPFクラウド/サーバー開発環境の保守運用チームの方からの発表でした。 この発表では、SDPFクラウド/サーバーの開発環境のサーバーやネットワーク機器を含むデータセンターの移転についてお話をしていただきました。

SDPFクラウド/サーバー開発組織にはデータセンターの配線やラック管理など物理作業の専門チームがいて、 開発チームはそれより上のレイヤに専念できるような体制となっております。

今回のデータセンター移転に際しても、非常に困難な課題であるにも関わらず私達開発チームへの依頼はほとんどなく、普段の開発業務に集中できました。

その内部では大規模なサーバーやネットワーク機器の再設計や再配線などの物理的な工程を始め、 タスクの切り分け、チーム・部署・会社を越えたマネジメントなど、開発とは別次元のエンジニアリングが行われていることを知ることができました。

【新入社員が】Firecracker論文【読んでみた】

4つ目は一人目の宮岸さんと同じSDPFクラウド/サーバーの仮想サーバーチームの松下さん(@bean_public)からの発表でした。 チームで実施しているジャーナルクラブという勉強会で共有した内容をTech-Nightでも発表していただきました。

Firecrackerとは、AWS Lambdaというサーバーレスのコンピューティングサービスで使われている仮想化基盤です。

発表では論文を読んでわかったFirecrackerの目的やアーキテクチャを、 SDPFクラウド/サーバーの仮想化基盤の開発者視点で説明していただきました。

個人的にはジャーナルクラブという取り組みが素晴らしいなと感じていて、 仕事以外で何かを学び、さらにそれをチームに共有できる場所と時間を設けていることを真似したいと思いました。

とりあえずFirecracker論文は読もうと思います。

あと、SDPFクラウド/サーバーにも実装されることを期待します(笑)

OCNにRPKI入れた話

5つ目はインターネットプロバイダーであるOCNのバックボーン開発チームの中森さん(@to_nakamori)からの発表でした。

RPKI(Resource Public Key Infrastructure)とは、 IPアドレスやAS番号などのアドレス資源の割り振り・割り当てを証明するための公開鍵基盤のことで、 経路ハイジャックの防止などインターネットの経路制御をセキュアに保つための仕組みです。 (参考:https://www.nic.ad.jp/ja/rpki/

RPKIではROA(Route Origin Authorizations)と呼ばれるIPとAS番号のペアをリソース証明書から生成し、 それを実際に受信した経路情報と比較して正しい経路なのかを判別します。

今回の発表では、ROAキャッシュサーバーをOCNに導入した経緯や導入途中で見つかったバグ、行った試験などを話していただきました。

OCNへの導入は(OCN顧客向けは除き)完全に完了されたそうですが、RPKIの性質上OCNだけが導入してもあまり効果がでないため、 今後は他のISP事業者などにRPKIの導入、ROAの登録を促していくことが必要になってくるそうです。

GitHubの社内レポジトリ探検してみた

最後はイノベーションセンターでセキュリティ製品の研究開発をしているMetemcyberチームの西野さん(@nitky)からの発表でした。 セキュリティ強化ツールThreatconnectomeの検証で得た知見から、NTT Com社内リポジトリの特徴を紹介していただきました。

NTT ComではGitHub Enterprise Cloudを利用しているのですが、 エンタープライズ配下にOrganizationだけでも13個、リポジトリはinternal/publicだけでも640というかなりの数となっていてまさに探検といった感じでした。

発表の中では各Orgの特徴やよく使われている言語、見どころなどが紹介され、 例えば私が所属しているSDPFクラウド/サーバーのOrgはリポジトリ数が302(社内公開になっているもの)もあり、 1週間に約150ものリポジトリを更新する巨大Orgであることが紹介されました。

またエンタープライズ全体での拡張子別の集計の紹介もあり、プログラミング言語ではPython、Golang、JS、PHPの次にCUE言語のファイルが多いこともわかりました。 CUE言語が全体の5位に来るのはかなり特徴的なんじゃないかと思います。 ほかにもpemファイルが1133あり、一見セキュリティ上まずいんじゃないかとなるんですが、これは性能検査などのテスト用に使われているファイルで大丈夫とのことでした。

発表の最後ではGitHub運用やコードが参考になるおすすめOrgの紹介もあり、 私は特にCI/CDの手法なんかをこのおすすめOrgのリポジトリから真似しようかなと聞きながら考えておりました。

Tech-Midnightとは

Tech-Midnightは2020年から行われている年末に開催しているLT大会です。 Techという名前を冠していますが、こちらではトークテーマに制限なく何でも5分間話していい会となっています。

Tech-Midnightは年末に開催されることもあって、某国民的歌合戦になぞらえて紅白に分かれたLT合戦という形式で行われています。 本家の紅白の組分けは男女で分けられますが、こちらの組分けは完全ランダムとなっています。 2020年と2021年はどちらも紅組の勝利となっており、今年は白組の初勝利となるか、紅組の三連覇となるか、という視点でも盛り上がりました。

このLT大会が終わるといよいよその年が終わったなという実感が湧きます。

Tech-Midnightの発表内容

またTech-Midnightでは次の24個(多い!)テーマの発表が紅白に分かれて戦いました。

ちなみに私もTech-Midnightでは発表者として参加して、紅組の「Build an Orchestrator in Goの紹介」という発表をしました。

そして気になる結果は、なんと初の白組の勝利でした!

今年感動したアルゴリズム1・2や、危ないアプリHackの類型(スマホアプリのハッキング・グリッチ事例紹介)などを中心に 聞き手の驚きを誘う発表が多く納得の勝利となりました。

Tech-Midnightは比較的内輪向けのイベントのため発表の詳細は割愛しますが、 Techに限らずバラエティ豊かなテーマと5分の発表のテンポ感が相まり、Tech-Nightに負けず劣らず盛り上がりました。

おわりに

本記事ではNTT ComのエンジニアコミュニティのイベントであるTech-NightとTech-Midnightを紹介しました。

これまで紹介したように、ネットワークからとう道、フォロワーの増やし方や留学のお話など本当にいろんなテーマの話を聞くことができ、非常に好評なイベントとなっています。

さらにNTT Comではお昼の勉強会のTechLunchや、 一般向けのNTT Com Open TechLunchも開催しています。

このようなイベントの開催は、知識・情報の共有だけでなく、さらにアウトプットを通した発表者個人の知識・技術の向上やエンジニア組織としての一体感の醸成にも繋がっています。

今後もこの取り組みを続けるとともに、輪を広げ、より活力のある組織へ成長させていきたいと考えていますので、共感できる方はぜひ!

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