企業間におけるAPI活用が進んできています。クラウドベンダーの提供するAPIに限らず、これまでAPIを提供してこなかったような企業でもAPIを使ってビジネス拡大を図るケースが増えています。
そこで今回は企業がAPIを公開することで得られるメリットについて紹介します。
自社技術をブラックボックスにしたまま利用させられる
どのような企業であっても自社独自の技術を無闇に公開したいとは思わないはずです。特に特許が絡んでいたり、自社のコア技術であれば尚更でしょう。しかし技術を持っていることや、それを新しい収益源として活かしていきたいとは思うはずです。そんな時に使えるのがAPI化です。
APIは機能を提供するのであって、実際のロジックは非公開になります。そのため独自技術部分についてはブラックボックスにしたまま外部の開発者や企業に利用してもらうことが可能です。
ビジネス連携を生むきっかけに
APIが公開されていれば企業間での提携がとても早くなります。もし同じようなサービスがあった場合、APIを公開しているサービスとしていないサービスがあったならば間違いなく前者が提携先として選ばれやすくなります。
提携が決まってからAPIを開発するのでは一手遅れていると言わざるを得ません。また、その場合は提携先の仕様に合わせて開発することになってAPIとしての汎用性が失われることになるでしょう。
リーチできない新しい層へのアプローチ
APIを公開することで、それを利用した企業が独自の顧客層に対してアプローチしやすくなります。これは特に大手の企業がAPIを公開した場合に有効です。大手ならではの機能(AIや機械学習など)を使って中小企業が独自のサービスを構築したり、中小企業が持つ独自技術と組み合わせて新しいサービスが生まれます。
この方法は異なる業種へのアプローチや免許が必要な業界へのアプローチに有効です。利用する中小企業にとっても独自の武器が手に入るのは大きなメリットになると言えるでしょう。
ワークフローを自動化させられる
例えばこれまではいちいち電話で状況を確認しなければなかったことがAPIを使うことで自動化できるようになります。これは人材コストの低減、最適化に大きなメリットがあります。APIを作ることで省力化に貢献できるようになります。
こうしたAPIはおもにバックオフィス系で使われます。サービス提供側としてはよく使ってもらっている機能ほど自動化する価値があると言えます。
他社との差別化に
同じ業界のサービスが存在する時にAPIを公開しているか否かはサービス採択時の一助になります。この時には特にRESTやJSON、OAuth2などの標準的技術に則って実装されている必要があります。また、特に利用が多いと想定されている言語に対してSDKやライブラリを提供するのも良いでしょう。
逆にすでに同じ業界で多くの企業がAPIを提供している場合、提供しないことがビジネスリスクにすらなります。この時には最大手のAPIフォーマットを真似て実装するのが戦略になるでしょう。そうすることで開発者は再開発の手間を極力減らした上で自社サービスへの乗り換えが実現できるようになります。
APIエコノミー形成の一歩に
APIを利用した経済圏が作れるならば自社APIを軸としたAPIエコノミーが形成できるかも知れません。この時大事なのは自社APIを使って新しいビジネスを作り出すパートナーの存在でしょう。ただ利用する企業が増えるだけでは広がりに限界があるはずです。
そうした状況を作り出すためにはAPIにもビジネス活用の可能性が見いだせるような特徴が必要になります。特に情報の取得系だけでなく更新や削除系も実装されている必要があります。さらにビジネス利用を可能にするような規約や条件の策定も大事でしょう。
企業がビジネスの拡大を狙う中で、APIは必須の存在となってきています。また、APIを利用する側にとっても自社のナレッジとAPIを合わせることで新しい価値を顧客に提供できるようになります。単にコスト削減や自動化だけでなく、自社ビジネスを拡大するという視点でAPIを見ると新しい発見があることでしょう。