グローバルなAPI活用状況レポートから見る日本企業の今後の取り組み方

CA Technologies社がグローバルなAPI利用に関する調査、APIs:Building a Connected Business in the App Economyを公開しました。特にエンタープライズ企業におけるAPI利用率の高さが伺える調査となっています。

この記事ではこのレポートの主だった内容の紹介と、そこから垣間見られる日本企業の取り組むべき方向性について紹介します。

大企業の88%がAPIを利用

グローバルなレベルで見ると、実に88%の企業がAPIをビジネスで活用しているそうです。さらに残り6%の企業は検討中とのことで、合わせると94%の企業が導入済みまたは検討中という段階にあります。もはやAPIを利用するのは当たり前であると言えるでしょう。

APIの利用目的は様々

APIを何のために利用しているかは大事なポイントです。しかし回答としては多岐に渡っています。

  • 利益向上のため(33%)
  • 開発者向けにAPIを提供し、セルフサポートやマーケットプレイスを展開(33%)
  • 外部パートナーとの提携(34%)
  • イノベーションまたは市場でのスピードアップが狙い(34%)
  • バックエンドシステムとの連携(40%)
  • 社内システム開発に利用(42%)

わずかに高いのは社内システムでの利用になります。利益やパートナーシップで利用されているケースも3分の1程度存在します。さらに3分の1の企業がマーケットプレイスなどを展開し、開発者が収益を得たり、セルフサポートできる環境を提供しています。

API管理水準は高い

APIの管理水準についてもレベルが上がっています。基本的な管理、または高度な管理を行っている企業は88%に上ります。その他の企業でも限定的な管理を行っており(10%)、全く管理していない企業は2%しかありません。

API管理は自社開発の他に、APIゲートウェイを使う方法があります。オンプレ、クラウドサービスかは選択の余地がありますが、こうしたAPIゲートウェイの利用は素早くて確実なAPI管理手法と言えるのではないでしょうか。

API管理レベルの変更によってもたらされるもの

興味深いのは基本的なAPI管理から、高度なAPI管理に変更したことによる変化です。トランザクション量が増加したり、IT系のコストが減る、顧客やパートナー満足度の向上といったメリットがあります。また、市場投入までの時間が高度なAPI管理を提供している方が早いというレポートが出ています。


なお、これらのデータは全世界、様々な業種の企業からなるデータになります。日本企業だけに限定するとAPIの活用率は低いとされています(via 「APIがビジネスに与える影響」を多くの企業が認識するも……:日本企業は「API活用」が出遅れている CA調査 - @IT)。API利用が市場投入の速さなど、ビジネスの加速につながっているならば、API利用に取り組まないのは致命的とさえ言えます。

ただし、今後大きな成長が期待できる分野であるとも言えます。その際には一歩ずつ歩んでいくのではなく、グローバルレベルでデファクトになっている技術、サービスを使うことで一気に最高レベルの仕組みを手に入れられるはずです。

すでに多数の企業がAPI管理サービスを提供しており、それらを使うことで現時点で理想的なAPI環境を手に入れられます。ぜひ今後のビジネス拡大にAPIを活用していくのであればチェックしてみてください。

APIs:Building a Connected Business in the App Economy

© NTT Communications Corporation 2014